2月14日
「魔王様ぁ〜v魔王様甘い物好きですよね。これ、チョコレートですvvv」
はいと、ローズが満面の笑みでチョコレートというには若干大きめな袋をロードクロサイトへと差し出した。
「あぁ、ありがとう。…バレンタインとは普通、女性からの物じゃないのか?」
毎年思うのだがと、袋を受け取ったロードクロサイトがいうと知らないんですか?とローズが返す。
「魔王様の言うとおり通常は女性から男性へ贈られる物ですが、敬愛する君主や上司に贈ってもいいんですよvvv」
と、勝手にバレンタインのルールを変え、ロードクロサイトへと吹き込む。
そういうものか?と首を傾げるがよくわからないなと、大広間を後にした。
「あなたねぇ…また妙なこと吹き込むのやめてくれないかしら?」
その様子を一部始終見ていたフローラはため息をつく。
べっつに〜というローズに早く持ち場に行きなさいという。
「あ、そうそう。最近出来たお香と花、あなたの屋敷に贈っておいたから。」
「え?あ、ありがと…。」
後で確認するかと魔界にある一軍の業務を行う建物へと向かった。
「ジキタリス様、甘い物はお好きでないんですよね。
なので御髪にいいツバキのオイルを入れたトリートメントです。」
「ジキタリス様、高山で取れた物だけを束ねた花束です。」
「ジキタリス様、お肌にいいクリームです。」
この日だけは建物の入り口で待っているハナモモだが、
ローズが受け取る品物に埋もれ、姿が見えづらい。
おまけに自分宛のものまであり、ローズが自分の物を持っていてもかなり辛い。
「ありがとう。大事に使わせてもらうよ。」
「ありがとう、飾らせてもらうね。」
と、受け取るたびに言うローズだがなかなか先に進めない。
さすがに持ちきれなくなり、屋敷まで荷物を飛ばすがすぐさまいっぱいになる。
今頃屋敷に勤める付き猫達は次々現れる贈り物を仕分けるのに必死だろうなと、毎年のことながら後で労ってあげようとどうにか執務室までたどり着いた。
「シヴァルさんからお待ちしてますとの伝言です。それと…フィアーが侵入していたので外につまみ出しましたが…。」
またその辺に現れるかもしれないのでご注意くださいと、
セイは書類に目を通しつつローズに告げる。
フィアーと聞いた途端、大きなため息をつくローズだが、ん?と首をかしげる。
「シヴァルさん来たの?」
「えぇ。先ほど整頓中の蔵から出てきたという香炉をよろしければと。」
机にありますといわれ、ローズは荷物を全て屋敷に送り、机載せられた桐の箱を開ける。
へぇと、声を上げるとそれを手に取った。
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