「Trick or treat!」
突然聞こえた声にチューベローズは目を瞬かせた。
振り向けば兄弟子でもある一歳年上のソーズマンが笑っている。
「トリ…トート?」
「トッリクオアトリート。やっぱり知らないか。今度ある、町の行事だよ。
村でもやってるんだけど…。」
首をかしげるチューベローズにソーズマンは気まずそうに最後呟くと、
さらに首をかしげる幼馴染を見た。
銀色の髪が緑色の頭巾頭巾から覗き、キラキラと光を反射している。
一歳年下とはいえ、2周りほど小さいチューベローズは2年ほど前に外に出るようになったためか、村や町での行事には疎い。
「魔物の姿をして町とか村の中を歩いて、Trick or treatって
言ってお菓子をもらうんだ。」
おれは狼男の真似してたなぁと思い出し、楽しそうに笑う。
そんなソーズマンに首をかしげていたチューベローズは何か思い当たったのか、
もしかしてという。
「えぇっと…村の中で前に蛇の姿とかして歩いていたの?
お部屋から見たことあるかもしれない。
楽しそうだったから窓から覗いちゃったんだけど怒られちゃって…。
ソーズマンのおとうさんに剣を教えてもらった時は風邪引いちゃってお家にいたから。」
「なんで怒られたんだ?まぁ…いっか。
父ちゃんもそういうの話したらだめだって言ってたし…。
それじゃあ今度あるから一緒に回ろう!」
えへ、と寂しく笑うチューベローズに今度はソーズマンが首を傾げるが、
すぐに気を取り直し行こうよとさそう。
「おとうさんにきかないと…。でも面白そうだね。」
「じゃあ何に仮装するか決めに行こう!」
面白そうと笑うチューベローズにソーズマンは喜ぶと、
手をとりチューベローズの家へと向かった。
「ハロウィーン?あぁ、もうそんな時期か。だからカボチャが売れるのか…。
いっといでチューベローズ。」
「そういえば去年は流行り風邪をこじらせちゃってずっと横になっていたものね。
楽しんでらっしゃい。そうだ。なら仮装考えなきゃね。何がいいかしら…。」
家に帰り、早速両親に尋ねるチューベローズに2人は笑って行っておいでという。
何にしましょうと笑う母シュリーに父ホスターも笑う。
「イフナにも相談してみようかしら。
チューベローズ、うんとかわいいのにしてあげる。」
「うん。」
バンダナを外し、頭を撫でると何にしましょうと楽しげに子供を抱えた。
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