4月1日。
それはこの馬鹿しかいないような世界にも当然のようにあった。
一体誰が仕掛け・・誰が一番の被害者か・・・。
目を開け、身体を起こしたローズは妙に体が重いことに気が付いた。
が、連日馬鹿・・・勇者一向に同行するに当たって精神的な疲れなどが溜まったのだろうとため息をついく。
しかし、立ち上がるとやはり違和感がある。
寝る前に見た光景と・・何かが違う。
そう。
背が低くなっていたのだ。
慌てて足元を確認したローズの顔から一気に血の気が引いた・・・。
「う…そ………。」
隣の寝台で眠るロードクロサイトを起こさないよう鏡を覗き込んだ。
やや茶色がかった・・・薄茶の髪。
目だけは元の黄色がかった青・・透明度がましているような気もしないでもない。
顔立ちも…変わり…妹のよりはやや細い輪郭。
そして何より…寝着を押し上げているありえるはずがない…胸。
「あ〜あ〜…。」
試しに小さく声を出せば…やはり自分の声よりも高い。
もぞりと背後で動く音がし、呆然としていたローズははっと意識を取り戻した。
このまま・・・何故か女性になった自分をロードクロサイトには見せられない!!!
と、ローズは魔力で服を作り上げ手紙を残して部屋を出た。
(やばい・・走ったら・・・・思った以上に身体が重い・・・。)
宿から抜けでると路地へ回り息を整える。
(なんでかなぁ…。手紙どおり一度城に戻って…シャクだけど二人に聞くしかないか…。…今僕ってサキュバス?)
一応マントを羽織ってきたローズはフードを被り人気のない場所へと向かう。
だが、一行が今居るのは桜の国。ジャポン国の中で1・2を争う花の名所。
いたるところに花見で酔いつぶれた人間が眠っていた。
(くっさ・・・ったく。使い魔が出せないんじゃ城に戻れないじゃんか。)
ようやく人のいない場所を見つけ、ひとまず事情を説明し今の自分の魔力で城に入れるよう調節して欲しいことを使い魔に伝え、飛ばす。
日中にそう早くは飛べない。
なるべく早くに返事が来る事を願い、それまで何処に身を隠そうかと辺りを見回した。
身体の変調もあってかいまいち呪文を煉ることができない。
服を出せただけでも上出来かと、彼…らしくなく沈んだため息をついた。
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