一年後、不安げに振り返りつつも、
これからの旅に期待の眼をむける少年は何かにぶつかった。
「ちゃんと前向いて歩きなさい。
一生帰ってこないわけじゃないんだし、さっさと歩く。」
布袋を肩にかけなおすネティベルは、眼鏡を落としたと勘違いするポリッターの額をはじき、
地図と円形の魔道具を見直した。
くるくると回転する魔道具を方位指針と言い、行きたい目的地への方角を伝えていた。
「フジベレストを迂回して……隠れ村?フラッシュミント……?まぁ用はないわね。
と…ここからだと……フレッシュミントの隣、ネモネアが一番大きいかしら?
ここから伸びる川と山2つ先の町には教会があるけど……。
仕方ないわね。ポリッター、何してるの?いくわよ。」
野宿よりマシね、と歩き出すネティベルはまた振り返っている弟子に一瞥をくれる。
「あ、待ってください!師匠!!」
「師匠じゃなくて先生と言いなさい!」
慌てて歩き出すポリッターだが、ネティベルに頭を叩かれまたやっちゃたとばかりに舌を出した。
一年間みっちり魔道を教えていたイチイが師匠と呼ばせていたおかげで、
なかなか先生と言うのが定着しないらしい。
一先ずは占いに出た東の島国…ジャポン国を目指すため2人は広い世界へと旅立って行った。
-おしまい
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