魔王軍の中でももっとも強いものが集まる1軍。
そこへ四天王長ジキタリスとその背後を歩く大犬の魔剣士フェンリルが付き添い歩く。
ハナモモの反対を歩くのは青く長い髪の女性…渦のドラゴンミズチ=ドラン=セイ。
4年前に副将についたセイは長年、一頭だけでシエルボーミロワールという美しい湖で暮らしていたため、言葉に不自由があった。
しかし、今では他の魔界人や魔獣に打ち解ける様にまでなってきた。
そして今日でちょうどジキタリスと出会って5年。
手渡された箱にセイは戸惑っていた。
「これは一体…。」
「忘れちゃった?今日は記念日だから。アメジストとかいろいろ迷ったんだけど…。
ラピスがいいかなって。」
戸惑うセイから箱を受け取ると中を開け、首に腕を回す。
急に近づいたことでさらに驚いていたセイは首に掛かるペンダントに目を奪われた。
雫型の銀の台座にはめ込まれた蒼い石は金がまぎれ、キラキラと光り輝く。
「前に僕の目の色が好きだって言ってくれたから…。
あ、でもこれいやだったらすぐ別のに…。」
「いえ!そんなことは!貴方の瞳のようで…。
本当にいただいてもよろしいのでしょうか?」
はにかむ様に笑うジキタリス…チューベローズにセイは顔を赤らめると石を軽く握りこんだ。
よかった、と箱を渡すローズは自席へと戻っていく。
その間、石を見つめていたセイは出会ったときのことを思い出していた。
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