念話で呼び出されたローズは窓を見上げまだ半日もやっていないのを確認すると、
ロードクロサイトの執務室へと向かった。
余りにも早いのでなにか不備があったのかもしれない。
 
「失礼します。何かありましたか?」
 また駄々でも捏ねるのかと若干呆れた心持で中へと足を踏み入れるローズは
机の向こうにいる魔王に声をかけた。
 どうせまだ終わらないだろうけど、こうもやる気が出るなら
たまにはこの餌でもいいかもしれない、と考え自分が餌になることを思い出しヤッパリやめようと苦笑する。
 
 
「終わった。」
 
「…はい!?えっ……ちょっと確認させてください。」
 大きく伸びをするロードクロサイトの言葉に驚くローズは、
慌てて差し出された巻物などを読み目を見張る。
明日まで、といったがロードクロサイトの速度では4日はかかるはず。
「さて……約束は約束だぞ。」
「えっ…そっそうですが…。あの…。まさか本気でやればこれぐらいの速さで…。」
 にっこりと笑うロードクロサイトに焦るローズ。
「ローズ、シィルーズになれ。付き合ってもらうぞ。」
 まだ確認していたローズの傍へとやってくるとその細い腰に腕を回し、
小脇に抱えるように片腕で持ち上げる。
焦るローズだったが、出口ではない方角へと足を進めるロードクロサイトの行く先を思いつき、顔を赤らめた。