アキラは先に行ってしまったのか、螺旋状になっている階段のためか先の明かりが見えない。
足音すらレオやブラッドと違って素足に布を巻きつけていただけなので足音がない。
ジャックも同じように素足に布を巻きつけているだけなので普通のシューズをはいたレオとブラッドの二人の足音が階段に響く。
足元ばかりに気をとられていたブラッドが頭に衝撃を感じ、思わずうずくまった。
「いっつっっ〜〜!!頭って・・・この事か・・・。」
 全く気付かずの衝突だったためか痛々しい音がし、レオが痛み止めの呪文を唱える。
「頭って・・・あぁ、松明じゃねぇ?よっと。」
 どういう仕組みか、1つに灯すと次々にともり階段をてらした。
明るくなってほっと溜息をつく3人だったが、壁を見た途端声にならない絶叫を上げた。
 
 一面・・・血がこびりつき変色していたのだった・・・。
かろうじて赤黒く見えるだけでかなりの時間が経っているであろうそれは何かが擦れたようなあとを残している。上への道は扉が閉まってしまったがために戻れず、3人はアキラの後を追いかけた。
 
「だから松明はつけず、降りてきたんだ。あれは200年前のものだ。あぁ、マリア様のものではない。」
 階段が終わった扉の前にいたアキラは溜息交じりに説明する。
ぎょっとした3人に息子の血だと伝え、中へと入っていった。
中にはただひとつ結界の中に浮く薄くブロンドの入った白髪の女性・・・マリアのみ。
「3人はそこから先には入るな。結界が張られている。」
 入ってすぐのところで警告され、アキラのみが中へと足を踏み入れて行った。
部屋の中央にある写真のようなものを拾い上げ今迄で一番大きいのではと思うほど大きなため息き、3人と共に階段を上っていく。
全員が外に出ると明かりは消え石造が元の場所へと戻った。
 
 
 外は既に薄暗く、雨は完全に上がっていたが足元が若干ぬかるんでいた。
「この先で野営する。なるべく地面の状態がいい場所を探すため若干より道になるが・・・泥の中で眠るよりはましだろう。」
 足元がやや不安な道の中、少し歩調を緩めるアキラだったが3人は足を滑らせながらの前進であった。
それなりに早く進むがアキラとの距離が開いていく。そんな状況に気がついたのかアキラは立ち止まり3人が追いつくのを待った。
「あ、すみません!今行き・・・わぁぁぁ!!「っ!?」」
 待っているアキラを見て焦ったのか、レオが大きく足を踏み出した瞬間木の根に足をつまずかせ、アキラを巻き込み派手に転倒する。が、不幸中の幸いと言うべきかとばっちりというべきか、
レオは見事にアキラの真上に倒れたため服には一切泥が付いていない。
そのかわりアキラの髪とマントに泥が大量に付着し、跳ね返りで顔にまで泥が付着していた。
 表情が変わらないため怒っているのかどうだかわからないが、再びため息をつくと慌てるレオを先に立ち上がらせ、近くの開いた場所で野宿する事となった。