炎呪文で若干乾いたものの直接寝るわけに行かず、持っていたタオルを敷き横になる。
しかし、妙に目がさえてしまって3人はなかなか寝付けずにいた。
「・・・あれ?おいジャック、レオ。アキラさん・・・何処いった?」
 ブラッドの声に起き上がると確かにいない。辺りを見渡すと微かに川の音が聞こえてきた。
「マント・・洗いにいったとか?」
「そうだ!僕まだちゃんと謝ってない!!ジャック、ブラッド・・・行ってみようよ。」
 放っておいても勝手に行きそうだが、レオの場合どこかで転びかねないと幼少の頃からわかっている2人はしぶしぶ付いていく事となった。
 音を辿れば確かに川があり、その場にアキラもいた。
月が丁度隠れていることもありはっきりとは見えないがアキラはマントを枝にかけ近くに火をたいている。
「やっぱり洗ってただけみてぇだな・・・。明日謝れば?」
 どうしようかと迷うレオにジャックが言うとそうしようかなと、頷いた。
 
 白いローブも洗っていたが、きりがないと思ったのか服を着たまま川へと入り潜る。
「髪も汚れてたもんな・・・。」
「確かにあれだったら一石二鳥だけど・・・ビショビショになっちゃうんじゃね?」
 一通り泳いで髪を濯げたのかあがってくると丁度月明かりが辺りを明るく照らした。
白いローブのおかげか淡く光ってみるアキラに濡れた服がまとわりつき、
華奢な身体を浮き彫りにしている。あれほどの力が何処にあるのかと思うほどの細さ。
陸へ上がると服を搾り出した。着たままでは駄目だと判断したのかローブを脱ぎ、Tシャツとズボン姿になる。
特に眠くもなかったために3人はそのままアキラの行動を観察していた。
 
 
「・・・何を見ている。」
 水を絞っていたアキラが消え背後から声が聞こる。その声に振り返ると予測どおりアキラが仁王立ちしていた。
「いや〜・・寝れなくて・・キッ奇遇でしたね。」
「おっ俺たち今ここに着たばっかりで・・・」
「あはははは・・・。」
 
 その後3人は頭にそれぞれ軽くたんこぶを作り乾いた石の上に正座していた。
「まったく・・・。下手な嘘をつかなくともマントを洗っている時から気が付いている。
眠れないのか?」
 アキラが短く呪文を唱えると火の勢いが増し、辺りを明るく照らし出す。
「あの〜・・アキラさんって何歳なんですか?ブラッドのお父さんとかを教えてたって・・・。」
「年齢?そんなものを聞いてどうする。」
「全然わかんねぇし・・・。」
「さぁ・・・。いつから数えるのか・・・俺が俺として今現在になった時から数えるのか・・・
それともこの世に生を受け、現の闇を数えるか。少なくとも今は・・・キフィーさんよりは若く、キンファーレよりは年上だ。」
 あいまいすぎる答えに3人はポカンと口をあけた。
 
キフィーは今年で380歳。レオの父、キンファーレは212歳。
 
はばが広く、答えを導くのは難しい。だがそれでも200歳は超えているという答えに改めて3人は驚く。やはりどうみても200歳には見えない。
「じゃあ…アキラさんって兄弟とかいないんですか?」
「あ、家族とか。」
「兄弟はいない。両親は一言で説明するのはしがたい。
祖父が身近にいるが…俺の犯した過ちが原因で今は疎遠されている。
いや、俺が距離を置いているだけ…だな。今更祖父を祖父と呼ぶ資格は俺にはない。
…もう夜も遅い。早く寝たほうがいい。此方もあと少しで乾く。」
だから先にもどれとアキラは3人を元のほうへと促した。