実際眠気が襲ってきていた3人は素直に戻り、横になった。
しかし雨の後の地面・・。どうにか暖かくなろうと寝返りをうっていると暖かな大きな何かが3人に覆いかぶさった。
確かめるまでもなくそれが先ほどのマントだとわかり、静かな笛の音と共に眠りに付いたのだった。
 
 翌日は再び楠へと戻りそれぞれの武器の使い方、呪文の基礎を復讐し簡単な手合わせで終わり、再び朝・・・。
「へっくし!!!」
 訓練中アキラが席を外しているとジャックが鼻を啜った。どうやら水遊びなどで風邪をひいてしまったらしい。
「無理しない方がいいよ。熱あるよ!!」
「言ってみた方がいいんじゃないか?・・うわ!雨だ!!!」
 レオとブラッドは心配げに覗き込むが突然の雨にジャックを連れ、洞窟のようになっている崖の窪みへと雨宿りに入り込んだ。
「ひどい雨だね・・・。ジャック大丈夫?」
 熱が上がったのか寝転ぶジャックにレオが声をかける。
「この前の水遊びと雨が原因かも・・。頭痛和らげる呪文とかないのかよ〜・・。」
「う〜ん…まだ僕覚えてないから…。ごめんね。」
 癒しの呪文としては基本呪文に含まれているがいまだにレオは使えず、ジャックに謝る。
とりあえず熱を冷まそうと小さな氷を呪文で出すとそれを額に当てた。
 
 
 ふと、水がはねる音がし雨の中からアキラが姿を現す。
今度は呪文を唱えていないようで全身ずぶ濡れだ。鬱陶しげに髪を掻き揚げマントを脱ぐ。
「すごい雨だな…。レオ、熱は何度だ?」
 外を一瞥し、ジャックの近くに腰を下ろし、火を焚く。
 はじめ何を問われたのかわからないレオだったがすぐさま気がつき、わからないと答えた。
「…俺は医療系の呪文が使えない。」
 ため息混じり呟き、ジャックの額に額を重ねる。
「あぁ少し高いな。見る限り普通の風邪のようだ…。この訓練では自己管理というものも大切になってくる。もし具合が悪い場合は事前に自己申請をしてくれ。」
 アキラはやはり感情のない声で言い、離れると背を向け何かを広げる。
迷惑をかけないでくれといわれた気がし、ジャックは頭痛を堪えその背をにらむ。
「馬鹿にしたり・・呆れたり・・・そんなに嫌なら他の奴と交代すればいいじゃねぇかよ!!」
「ジャック落ち着けよ・・・。」
 怒鳴るジャックをブラッドが宥めレオが新しい氷を作り出す。
「嫌であれば…よかったのにな。」
 呟かれた言葉は意外にもよく聞こえ、その言葉の中に悲しみがあるのを3人は聞いてしまった。
居心地の悪い沈黙に雨音が混じる。