2週間が経ちある程度の魔法を覚えた三人は、アキラに連れられ森の反対側にある海に行く事となった。
アキラの態度はあれから全く変わることなく、重さの増えた武器すらも慣れ始めていた。
今回は水中の中でも緊急戦闘を学ぶためではあるが・・・ジャックは泳ぐのが下手で心配を隠せない。
そろそろ海が見えるという場所でアキラは急に立ち止まりふっと消える。
何も言わずに消えるのは幾度となくみてきたが、何があったのかと3人は顔を見合わせた。
「ん〜逃げられちゃったかなぁ〜。」
声と共に現れたのは中年よりやや若い大柄な女性と数人の訓練生。
どうやらアキラを追いかけてきたらしい女性は訓練生と共に苦笑する。
「あら、貴方達・・・レオ君、ブラッド君・・それにジャック君ね。まぁ〜こんなに大きくなったのねぇ…。早いなぁ〜。あんなに小さかったのに・・。」
ジャックにとっては初対面のはずが、女性は懐かしそうに頭をぐしゃぐしゃに撫でる。
「あ、私はメリッサ=ロッサ。エリートエージェントで唯一の女幹部よ。これからの時代、女が仕事の主役!ってね。」
名前を聞いた3人は驚いた顔になる。噂に聞く女性幹部・・・。
男性に厳しく女性に優しいという噂で・・旦那さんは全く頭が上がらないという・・・女性の中で最も強い女性。
全員一様に左胸にAとF・Cを組み合わせたバッチが輝いている。3人の目線に気がついた訓練生の1人がクスリと笑った。
「このバッチは私たちAFCの会員を現すもの…つまり私達はアキラファンクラブに所属している会員なのよ。」
「アキラ…」
「ファン」
「「「クラブ!?!?」」」
やや間をおいてから同時にハモる。
確かに外見はクリフィ=グイフォードよりもいいし黙っていれば…女性がほうっておくはずがないだろうが・・・。
「そうよ。私たち女性のみに許されたファンクラブ!」
「メリッサ。俺は許した覚えはさらさらない。」
目を輝かせ、嬉々として宣言するメリッサ達にいつの間に戻ってきたのかアキラが呆れた口調で訂正する。
「久しぶり〜。また痩せたんじゃないの!?」
「食が相変わらず細いので。それより・・・緊急事態だ。魔獣が急速に接近している。
それも猛毒のタートスコンだ。タートルスコーピオンの改良版が3匹と魔族が5人。
速度・距離を見ても背を向けるより立ち向かう方が安全だ。訓練生は今のうちに逃がした方がいい。」
満面の笑みを向けるメリッサに対し、アキラは淡々と言葉をかえし警告する。
すぐさま訓練生に対し避難指示を出し、訓練生は一目散に退避行動に移る。
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