「大昔、とある2人の兄弟と親友はそれぞれ使命を持っていた。
兄弟のうち弟は使えば使うほど命が削られていくと言う呪文を使い
その使命を全うしていた。その呪文しかない上に、放置する事のできない使命。
ある日、弟には限界が来た。何時もならば回復できたがその時だけは違っていた。
原因は弟を取り巻く環境にあり、彼は被害者だった。使命をほかにするものはない。
記憶と引き換えならば助かるとわかり、兄はそれを実行とした。
しかし親友には耐えられなかった。人は記憶で形成される。
記憶を失えば同じ顔をした同じ性格の別の人になる。
積み上げてきた長年の思い出が消えるから。そんな言い分でだ。
兄と親友は弟を守るものだったが、意見の違いに激しく戦い、結果。
止めに入った弟が両者の刃により死んだ。兄は怒り、親友は狂った。
親友は世界を呪い、生きとし生けるもの全てが敵だとした。さて、この場合。悪は誰だ?」
淡々と出題するアキラの問いに3人は考える。
「補足だが、親友は弟を取り巻く環境から負を取り祓う役割を持っていたが、
取り祓いきれなかった。兄は力が強く自意識過剰で弟思い。
弟は使うことがあっても周りに救いを求めない性格。優柔不断で苦しい事があってもすべて抱え込む性格。」
一本的に考えれば負を取り祓えず、環境が悪化し、弟が弱り、死に。
そして張本人が狂った。しかし、兄のほうもまた問題がある。
力があり、弟思いと言うことはその負に対して何らかの行動を起こしていたに違いない。それが負の連鎖となって弟に降りかかっていたと考えられる。
「やっぱり・・・親友が悪いんじゃ・・・。負を取り祓えきれずに兄や環境が悪化したと俺は思・・います。」
ジャックは親友が悪いと考えた。だが何故か釈然としない気持ちで再び頭を捻る。
「でも兄の方は外見だけ残っていれば良いとでも思ったのかな・・。
やっぱり記憶とか思い出がないと弟も寂しいと思いますけど・・。
親友の方は弟の気持ちも思ってたんじゃないのかなと思います・・・。
そりゃ勝手に記憶消されちゃいやだもんな・・・。」
特に誰が悪いとも言っていないブラッド。最後に口を開いたのはレオだった。
「僕は・・・その周りの環境から負を取り祓うから自然と沸いてしまうと思います。
だからそれを親友が払っていたのに追いつかなくなった。
その分をお兄さんが消そうとして逆に悪化して・・・
2人とも弟さんを守ろうとしたのに出来なかった。
多分本当は二人合わせて初めて弟さんを守ったんじゃないかなって思います。
思い出と記憶を守る親友と外見とか弟さん自身を守ろうとしたお兄さん。
足すと丁度いいなって・・・。だから・・・僕は誰も悪いわけじゃなくて不運が重なったんじゃないかなって思います・・。」
レオの言葉に2人はそういえばと思う。祓う対象が自然に湧き出ると考えれば何故祓いきれなかったのかと言う事もわかる。許容量を超えたのだと。
ではその環境が悪いのかといえば、祓う人がいるということはどうしても出てしまうということ。
そしてレオのいうとおり、2人が力を合わせていれば弟を支える事ができたのではと言う考えに行き着いた。
すれ違いが無ければ・・・負の許容量が超えていなければ・・・そして苦しみを誰にも話さず耐えていなければ・・・もっと違う結果が得られたはず。
「なるほど・・・・。では訓練に入る。その前に主な活動場所として利用する場所に移動する。ついて来い。」
意見を聞いたアキラは何かに納得すると有無を言わさず森へと足を運んだ。
3人もそれに習う。
が・・・
「重!!!」
武器を道上げた瞬間、どうみても不釣合いな重さに3人は思わず声を上げる。
その声にアキラは振り返る。
「あぁ。筋力を鍛えるため・基本体力向上のため訓練用それは始め15キロだ。
そうだ。それと敬語は要らない。俺には必要ない。」
始め15キロ・・・つまりはだんだんと重さを増すということを言われ、3人は驚く。
←→
↓
|