次に闇から浮かび上がったのは明るいホールと踊る人々…。
パーティーのようだ。
人間界で着られる和服とは若干違う魔界独自の民族衣装を身にまとった人々やローブを身に纏った人々がホールを埋め尽くしていた。
「この日はアキラ様の15のご生誕を祝うパーティーを行っておりました。この頃にはアキラ様は訓練期間を終え、正式な兵となっておりましたので城ですごされておりました。」
今とまったく同じに見えるアキラは長い漆黒の髪を三つ編みに纏め、正装している。
一人静かにテラスで夜空を見上げていた。白銀の光は丸く地上を照らす。
ふと、アキラの背後に一人の少女が現れ、振り向きかけたアキラに飛びつく。
歳はアキラと同じくらいだろうか、栗色のウェーブがかった長い髪がふわりと舞う。
振袖に良く似た淡いピンク色の服に身を包んだ彼女は中に向かって呼びかけた。
『アキ!こんなところにいたよ〜。リザちゃん、 ちゃん、こっちこっち。』
『まったく。こんな所で…。ダモス様、探してましたです。』
『さすがレイナ。そんな馬鹿首に縄でもつけてダモス様んとこにでも繋いどけ。』
同じくテラスに現れたのは赤錆色の髪をした2人の少女。
揃って長い髪を結わいているがかたや女性らしい服装。かたやシンプルな男物ではないのだろうかと思うような正装。
彼女達は既にアキラより背が高く、小柄なアキラは彼女達の胸ほどしか身長がない。
逆光で2人の顔は見えないが姉妹であるということが予測できるほど雰囲気が似通っていた。
『レイナ、 !?それにリっちゃんまで…。後から来ると聞いていたけど…。』
『お父さんが今日は具合がよさそうだから行っていいって。』
『ま、わたしんとこはどうせ呼ばれてるし。』
『アキはリストに目を通していないんですかね。』
『2人が来るのは知ってた。リストはリチャードが毎日繰り返していたから覚えているにきまっているだろ。』
馬鹿じゃないのかとアキラは言葉に出さずに目でいうとリザと呼ばれたほうでない、男勝りな少女が頭をはたく。
なぜか彼女の名前だけヴァルキのときのように音がない。
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