『…わかっているなら別の階に住んでくれ。』
『いやだね。ほら、親の老後ぐらい面倒見なきゃ。大体血だらけで帰ってくることなんかしょっちゅうなんだしさ。キフィーさんに通報するのがいないとな。』
『お前の親は…ゼフィーさんとキヤさんだ。』
『わ〜ってるよ。でもさ俺をここまで育ててくれたのはアキラだし、育ての親じゃんか』
 
「アキラが・・・俺の親父の育ての親?」
 思いもよらない自分とアキラのつながりに驚くジャックにリチャードは微笑む。
仲のよい血の繋がった親子のような2人であったと、そのときを思い出すように目を閉じた。
「天界に来てまだ日も浅いとき、マルス様の祖父でございますゼフィー様に大変お世話になり、事故で亡くなったゼフィー様の代わりにとガン様をお引取りになりました。」
 
 たわいもない会話をする2人。アキラは今のように無表情でなくわずかだが柔らかな笑顔にも見える表情をしていた。
 
 
 慌てた様子のガンが病院内を走り、控えていたアキラに飛びつく。
『なぁ!産まれたよ!!男!俺の息子!』
『落ち着けガン。無事産まれてよかったな。キンファーレさんとこはひどい難産だったからもしものときに備えていたが…。』
 目を輝かせて全身で喜びを表現するガンに自分が産まれたことをジャックは知った。自分が産まれた事に喜ぶ父の姿。
『あぁ、だからアキラ3日前から強制入院させられていたのか。なぁなぁ!ガキにはノウライって付けられないんだったら名前決めてくれよ。ハルがさ、是非ともって!』
『ガン、自分の息子をガキ呼ばわりするな。言語を間違えて覚えるぞ。突然言われても…。』
『んじゃあ男らしい名前で!一人ぐらい知り合いで漢!っていうような人とか…。』
『…ジャックさんぐらいしか思い浮かばない…。』
『あの人か!んじゃあそれで!』
『ジャック=キヤ=マルスか。』
 思いもよらないところでレオの父親の名前が出てきたことで驚く。
自分とジャックの誕生日は3日違い。ならばこの話に出てきたのは自分のこと…。
「僕が生まれたとき、凄く危なかったって聞いていたけど…アキラさんが助けてくれたんだ…。」
 産まれたときから命を助けてもらっているのかとレオはうれしくなる。
やはりアキラはやさしいと、そして感謝の思いがこみ上げてくる。
そしてジャックの名付け親がアキラだとわかり3人はさらに驚く。
「俺の名前…ずっとミドルネームがわからなかったけどばあちゃんの名前だったんだ。」
「そうでございます。ゼフィー様とキヤ様にはあまりお会いしたことはございませんが、とても仲のよい御2人だと伺っております。」
「俺の名前のもとになったジャックさんってどんな人…?」
 アキラとガンが揃って男らしい漢であるという人は一体どんな人なのかとリチャードに聞くが、リチャードは会ったことがないらしくわからないと答えた。
それもそうだと、3人は今更ながら納得する。リチャードは主に城にいたためアキラの傍についていたわけではない。