よく晴れ、ピクニック日和となった当日。
草原を歩く5人のうち3人は2人のやり取りを笑いながら眺めていた。
初めは緊張していた3人であったが、ゴークの行動が3人のよく知るブラッドの祖父の雰囲気と、普段強面で近寄りがたいキフィーが見せるレオへの溺愛っぷりによく似ており、肩の力を抜く。
はたから見れば素直ではないが仲のよい似たもの同士の孫と祖父に見える。
孫をかわいがる祖父と、彼曰く照れている孫。
時折孫から出る手がなければ微笑ましい光景だ。
「洋食だ。」
見つけた木陰でアキラが用意した弁当を開けたブラッドが第一声に放った言葉にジャックとレオは笑い、用意した本人は何か文句があるのかといわんばかりにじろりと見る。
「アキラってこの前食べた朝食とかからどうにも和食のイメージがあったからさ。」
「確かにレイナらに和食の弁当を作らされたこともあるが、こっちに来てからはメリッサさんやウィルさん、ゼフィーさん、ハル辺りに教わりパン等を使ったものにしている。」
ブラッドの祖父、ウィルことウィルターナが教えている姿を想像したブラッドは以前ツインテールにラブリーな母のエプロンをし、気合の入った謎の炭化物を作った祖父の姿を思い出して噴出す。
噂ではメリッサの料理の腕は破壊的だとか…。
そんなブラッドに気がついたのか、アキラはやれやれとため息をついた。
「確かにメリッサさんとウィルさんには料理の腕は絶望的なため、教わったというよりも作らされた…が正しいだろうな。おかげで経験が増えたのはいいことだろうと思うが…。」
ゴークが言うに昔アキラは監視という名目と、天界で暮らす下準備として来て1年後あたりからメリッサと暮らすことがあったという。
その頃から少しずつ料理の腕を磨いていたらしい。
ふと、風が吹いた拍子に一瞬だけ何かが反射し、レオはその反射したものを目で追う。
「あれ?アキラさん、ピアスなんて開けてたの?」
レオの声にブラッドもアキラを見る。僅かに見える左耳に、小さな赤い結晶のようなピアスが光を反射していた。
「あぁ、いや。つい最近だ。」
「この前2人とも別の講義受けてた時俺ん所休講でさ、前から開けようと思ってたピアスを開けにこようと思ったんだ。けどあんまり金なくて…。そしたら偶然買い物に来ていたロロイと話しているアキラ見つけて、ちょっとたかるついでにロロイと一緒に説得してみたわけ。」
ほら、とジャックは左耳についた小さなしずく形の銀色のピアスを見せる。
祖父みたいなものだし、自称義理の息子というロロイも一緒にいたことだしと、ジャックはにやりと笑う。
「おれも今度メルフィラに開けてもらおうかな。」
ブラッドはうらやましげに見ると2番目の姉でありヘアスタイリストの姉に頼んでみようかと悩む。
やや強い風が吹く。ただの風かと思う4人であったが、突然アキラは剣を抜き警戒をする。
そこへ大型の魔獣が風と共に現れた。
4人に逃げるようにというとすばやく魔獣の元へと向かい、戦闘を始める。
ゴークは3人を集め、結界を張ると応援を呼ぶ。
彼はもう戦うだけの体力がないのだ。
突然結界が張られた地面から花が現れ、花粉が舞う。
それに気がついたゴークが慌てて水呪文を使い花粉を静めるが中に舞ってしまった花粉を吸い込んでしまい、先に気を失った3人を追うかのようにその場に倒れてしまった。
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