目が覚めるとそこは殺風景な荒地が広がる場所であった。
足元にある岩場は数メートル先でバックリと口を広げその下を川が流れる。
魔界と天界が繋がるそこは戦争の傷跡を今なおさらしていた。
死の岩場…デスロックと呼ばれるそこに4人は岩に縛り付けられていたのだった。
辺りには破黒と魔獣、そして土人形ではない魔族が数人と土人形が取り囲んでいた。
 
 
「随分遅かったようだが…あれにはてこずったのか。」
 破黒の声に彼女が見る先を見れば丁度アキラが砂塵と共に現れたところであった。
怪我をしているようではないが、若干疲れているようだ。
「悪趣味な場所を…一体何のようだ破黒。」
「白々しいことを。それでどうだい?貴様の血を入れた魔獣は。血の親に向かってのみ動くというのが欠点だが…楽しんでもらえたかな。」
 破黒の言葉にいっそう殺気立つアキラだが当の本人は楽しげにくつくつと笑う。
「楽しんでもらえたようだな。まぁいい。どうしたそんなに離れて。もっとこちらに来て早く人質を助ければいいだろう。」
 なにが面白いのか、笑い続ける破黒は魔獣らと土人形に行けと命じる。
すぐさま切り伏せるアキラであったが、その腕に地面から生えた蔓が絡みつき、アキラを引き寄せる。
 すばやく切り離そうとしたアキラだが、突然苦痛の表情を浮かべ“首輪”に手を伸ばす。途端青白い稲妻のような光が見え、アキラの全身を包んだ。
 
「アキラ!!!早くそれを外すんじゃ!!」
 ゴークが叫ぶように言うとアキラはどうにか首輪を引きちぎる。
するとすぐさま光が消え、アキラは息をはく。
体から湯気のようなものが立ち上がり、倒れるアキラに蔓が絡みつき固定する。
 咳をしているのが聞こえ何があったのかと、3人は首をよじり蒼白になった顔を苦しんでいる孫に向けているゴークをみた。
「バカな男よ。律儀に残しておいたメッセージどおりそれを付けたままくるとはな。
どうだ?貴様の母の故郷の連中が作り上げた首輪の電流は。
まるで敷地から出られないよう鎖で繋がれた犬のように。まったく天族は何を考えているのだろうな。」
「だま…れ…破…黒。約束どおり…4人は…返してもらうぞ。」
 蔓を引きちぎり、剣を拾うと迫っていた魔獣と土人形に振るう。
だが今までの動きとは明らかに違い、力もなく速さもない。
あっという間に倒され、土人形に取り押さえられる。