ほうっておくわけにも行かないブラッドの父と祖父はと天王に連絡をいれるため戻り、戸をくぐり参戦するもの…美樹に救護に回るものに分かれる。
「レオ、ジャック、ブラッドは一緒に来てほしいです。アキの…今の支えになっている人がいないとアキはきっと力を解放するです。」
「俺たちが!?でもそんなことして…。」
 いいからというリザにつれられ、3人も戸をくぐった。
そこは荒れた地ではなく一面の草原。
だが襲い来る魔獣と応戦するアキラにより戦場は荒れていた。
そこへアキラの邪魔にならないよう外側の魔生物から攻撃していく。
だがどれも天界に来ていたものよりも大きく、そして凶暴であった。
 
「危ないです!護身用の武器は持ってないですか!?」
 リザはタクトを振り音の壁を作り上げ3人に問う。別の空間に入れていたそれぞれの武器を取り出すとせめてアキのそばにと、どうにか間をくぐり近づこうとする。
だがなかなか先には進めない。
 
 
「龍だ!!黒龍だ!!!」
 突然上がった叫び声に目を向ければ黒い大きな龍が威風堂々と上から威圧するように目を向けていた。
アキラもそれに気がつき、光に包まれ白龍が姿を表す。
一回り小さなアキラは威嚇するように唸りほぼ同時に互いの首へと牙を食い込ませた。
巨大な2つの生物に魔生物達は次々踏み潰されていく。
生き残った奴を遠巻きながら撃退していると魔族の人々が加わり魔生物はすぐに姿を激減させた。
 
 2匹の龍は一度互いに離れ尾を振るう。
まったく互角に見えていたが、一人の女性がこのままではアキラが負けるとつぶやいた。
月色の髪をしたその女性はアル=ゼルミラスと名乗った。
「アキラ様の鱗は大人の龍に比べるとまだやわらかいのです。あのままじゃあ…せめて一時だけでも力を解放してくだされば…。」
「アキラは幼龍なのか!?」
 駆けつけたゴークが人間界から来るとアルの言葉にあの大きさでと、1000年前の世界を思い描く。
 確かにユリシアだと思われる黒龍はアキラより大きくそして同じ行動のはずがアキラより傷が少ない。再び牙が突き立てられ、アキラの尾が地を打つ。
反撃をするため首へと襲い掛かるがユリシアに押さえ込まれ、崩れ倒れる。
立ち上がろうとするが弱弱しい咆哮を上げるのみで動くことができない。
互いに徐々に戻ると血を流すアキラと何かの石を手にしたユリシアがその場にいた。
 
「あれは核!?まさかアキラに核はなかったはずだ!」
 比較的近くでそれを確認した魔生物管理局員は驚きの声をあげ、キフィーとロロイをみた。2人とも顔を青くしユリシアが何かを剥がすのをただ見ていた。
「これが魔核…。確かに受け取ったぞ。いいだろう。
200年前の契約どおり、完全にこれに馴染むまで貴様のいる世界…
天界と魔界、人間界には手出しをしないでやる。そら、貴様が護りたかった娘だ。」
 ユリシアが黒い霧状となり空へと消えると破黒…いや、髪の長さからしてリーズだろう。彼女が残され、倒れるのをアキラが抱きとめる。
「姉さま!!」
「アキラ!」
 駆け寄るレオとジャックとブラッド、そしてリザにキフィーらも続く。