二節・・魔生物

 なかなか完治しなかった捻挫がようやく完治すると、ジャックたちに付き合う程度の朝食をとっていたアキラの元へ召集の知らせが入る。
丁度ロロイも顔を見せ、3人も見学に来るかと誘った。
見てもいいのだろうかと思う3人であったが好奇心に押されロロイの仕事場…
魔獣研究課へとアキラと共に向かった。
 
 
「龍になる時って別に苦痛とはペナルティーはないのか?この前ずいぶん苦しんでいたけど。」
 どうやらアキラの龍になることについての検査と研究のようだ。
アキラはズボンのみの姿となって貼り付けられていく器具を見下ろす。
研究員はアキラの答えをボードに書きとめると次の質問へと移る。
「わしの血とマリアの血ももう一度検査したんじゃが普通の血とさほど変わったことはないというんじゃよ。」
 同じようにして見学に来ていたゴークは3人を見るなり肩をすくめて見せる。
 
 問題はないとされたところで、キフィーの思惑通り短いネックレスとなっていた勾玉を外し、目を伏せる。
周りにいた研究員が避難するところあいを見計らったようにアキラの体が光に包まれ、飴細工のように一瞬で姿が伸びると光は強く瞬き消える。
その場にいたのは蒼い目をした白龍の姿。胴も長いが尾も長く、先端には鬣と同じ若草色が連なり房のようになっている。
 
 
『この間は久々の変化と疲労、魔力が少ないなどのことが重なってやむ終えずこの姿になったが特に異常は無い。
ただ前回のような状況で変化した場合理性や意識を失いやすいため魔獣に囲まれていなければ使わなかったな。』
 検査をするため傍に寄ろうとする研究員を一度止め、四肢動物のように大きく伸びをした。
人で言えばポキポキ関節がなるように鈍い音が連続して起こり、ぶるりと体を震わせる。
『久しぶりでどうも感覚がおかしい。』
「あっぶねぇ…。龍に最初になったのはいつ?」
 退避していた研究員は各々調べ始める。
中には内部構造を呪文で紙に転写しているものもいたが、鱗で呪文がはじかれている。
『生まれた時であり、2歳だった時だ。』
 ロロイの問いにアキラは意味のわからない回答を返した。
「だから、なった時じゃなくて龍の姿になった時!」
『俺が俺として生まれ、2歳だった時だ。他に言いようは無い。』
 そういうとアキラは内部を転写しようとしていた研究員から紙を取り、一瞬で全身の内部写真を写す。