「だがどうする?策はあるのか?」
「実際にどのような力か十分に観察する必要があるだろう。
昨夜、情報入手後破黒から直接連絡があった。それによると学生に成りすまし機会をうかがうそうだ。よって天界側も俺と数人で一年間を目安に潜入し、機会をうかがう。これが俺の案だ。」
アキラの言葉に静まる会場。我に帰った一人が顔を赤黒くしがなりたてる。
「貴様!!やはりあちらと内通していたのか!!恩をあだで返しやがって!!!」
その声にそうだとあちらこちらから声があがり、ジャックたちは困惑する。
やはりリザとその姉が原因だろうかと考えるが、破黒とは繋がってはいない。
しかし昨日の晩ならば自分達もいたはずなのにと信じているが疑いたくもなる。
「破黒との契約内容を言っていなかったな。破黒との契約内容の一部はもう話して良い言われたため公表する。契約を破った場合、魔界の住民を土地ごと消滅させるというのが規則だ。
一つ、ゲームをする時どのような条件も呑むこと。
一つ、自殺等、破黒自らの手以外で死ぬこと。
一つ、どのような状態であろうとゲームには必ず来ること。これぐらいだな。あとはまだ話すことができない。」
いずれは話すことになるだろうというと、幹部最長老が天族の犠牲に比べれば魔族などと、非道徳的な言葉を投げつける。
ゴークが制したが、先代の天王から使えている男。そう簡単には静まらない。
「俺は魔王代理だ。魔族のためを一番に思い、魔界を守る。それぐらいのこともわからないほど老いぼれたのか。」
「ならば何故残りの契約内容を言わない!!」
信用できるかという言葉もアキラの表情は変わらず淡々と対応する。
「やつが許した分のみはなすことができる。やつに大事なものの命を握られているため幾重にも呪文がかけられ、話した途端魂を消される。
みすみす殺させるほど俺は冷徹ではない。俺の命などとうに捨てているが他者の命を奪う権利はない。魔族の命も天族の命も。」
案に異議がないようならば人間界にいく手続きをと締めくくる。
それに反論する声はなく細かな対策について話し合いが行われる。
会議が終わるころ、アキラは隙あらば破黒をという命に自嘲じみた笑みを浮かべ了承の意を示した。
もっとも一緒に住みアキラの変化に気づけるキフィーを含めた4・5人だけが気がつくほど僅かな表情ではあったが。
他に天界に少女を連れずできることは浮かばないと、見た目的にも大丈夫だろうとアキラのいっていたとおり3人が同行役に選ばれ週末、4人は人間界へと通じる扉をくぐった。
人間界では魔力の要らない独自の文化が築かれ、天界では不要とされる技術が多く見られた。
人気のない場所に出た4人は人間界に住む天族がとった家に1年間住むこととなる。
「あぁ。こちらの言葉を知らなかったな。」
頭かしなというアキラに、何をするのだろうかと首をかしげつつ頭を向ける。
聞き覚えのない呪文を早口に唱えるアキラにどうしたのかと、問おうとすると耳鳴りがし一つ咳が出る。
「何したんだよ…びっくりした…。」
「人間界で日本という国の言葉が通じるよう喉と耳に呪文を施した。どうせここに住むわけではないんだ。天界に戻れば呪文は消える。それと髪の色もいじらせてもらった。まだ自然に見えるだろう。」
「そんな呪文あるの!?」
自分らの髪が見慣れた色でなくなっているのに馴染めず、落ち着きなくいじるレオはアキラに聞き返した。黒髪になったアキラに龍が使える古代の呪文だと言われ、そんな呪文が古代にはあったのかと3人は感心に満ちた声を出した。
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