最終章「魂の選ぶ道」一節・・誕生

 
 
 
 魔界にあるという研究施設に案内され、フランクという名札をつける青年がアキラを運ぶ。
 機材を取り付け、巨大な水槽のようなところへ入れるとアキラの体は龍にと変わった。
 
「アキラ様の回復が一番早まるのはこのお姿なのです。
いつもならばディール神様とネル神様が手を貸してくださるのですが…。」
 どうやら核と魂の傷が深いようですねと、水槽を見上げる。
丸まった龍は徐々に白い殻に覆われ、完全な卵型になると淡く発光した。
 
 
天界でもキフィーに無理を言って地下にこの設備があり、
緊急時には自分達も直接操作していたと、フランクはキフィーに確認を取りながらゴークや幹部、そのたエージェントたちに説明する。
一体何故、アキラが魔人なのかという疑問には彼ら自身知らないと首を振った。
3人は以前アキラが言っていた魔人のことを思い出す。
 
 もう一人の魔人は骸から生まれていると、そういっていたはずだ。
それを恐る恐る言ってみれば後数十年で死ぬというアキラは既に一度死んでいるのかと、困惑気味な声が響く。
 
「私は…どういういきさつでなったかは聞いたことがない。けれどもアキラは…人間界で2歳の頃全てが変わってしまったとそういっていた。」
 ひとまず破黒のことはおいておき、自由にされたリーズはアキラの魔人のいきさつを言うがわからないという。
 アキラが回復するまでの間今後について話し合おうとするが、
なかなか次の話に進まない。
 
 
「アキラは2歳の誕生日、つれ攫われ魔力の過剰放出と火事でマリアにあわすこともできず私の腕で死んだよ。」
 
 
 突然聞こえた声に振り向けばアキラが立っており全員が席を立ち驚く。