しかし、その男はよくみれば背の高さや瞳の色、
そしてその後ろに立つ見覚えのある女性にアキラでない。
ただ、瓜二つなだけ。
「封印が解けるのに時間がかかってしまい申し訳ない。
父グレイスより魔王の座を受けついだダモス=グレイス=ヴァルビスです。」
「ダンが目を覚まし、私もようやく永い眠りから覚めることができました。お父様、お久しぶりです。」
 丁寧に…優雅にお辞儀するダモスとマリアはその部屋へと入るとゴークの元へと向かう。
 
「マリア…目覚めたのか…。」
「はい。200年経ったということはリチャードから聞きました。
先ほど魔界に着いたのですが遅くなってしまいごめんなさい。」
 生きたマリアと再会を果たしたゴークは涙を流し、よかったと言う。
そこへダモスが失礼と、親子の再会に割って入った。
「天王殿、挨拶を申し上げる前にアキラのことについて説明させてください…。ルナ、記憶球を。」
 そう呼びかけると藍色の髪をした盲目の剣士が純白の剣を挿し、若草色の少年に手を引かれ前へと進み出た。そして見えていないはずがジャックを振り向き笑う。
 
「あぁ、兄上によく似てますね。顔は見えませんが気配が同じです。
ルナ=ゼフィー=マルスです。ダモス様、母上と父上の記憶を合わせたものです。
ガロン、従姉妹のジャック君だよ。」
 髪がまっすぐ下に伸びているため、色以外は母方の血を受け継いだようだ。
若草色の少年、ガロンは小さくお辞儀をするとルナにいわれ別の部屋へと行く。
 ダモスはジャックの叔父、ルナからその受け取った記憶球に魔力をこめるとその場にいたルナとマリアを除いた全員を同時に過去の記憶の世界へと誘った。