騒いだおかげで疲れたらしいアキラを引きずり戻ってきたリーズに確認を取るとそうだと頷く。
珍しく弱っている…それも精神的に疲れ机に伏せているアキラの鱗がうっすらと見える腕をリーズは叩き、無理やり起こす。
「精神繋いでいる時に入ってくるな…。脳細胞が情報処理に疲れて痛い。」
「痛覚なんてほとんど備わってないでしょ。大体繋ぎ終わるの待ってたらいつになることやら。」
 アキラは深々とため息をつくと腕を軽く振り鱗を消した。
シャワーを浴びた後なので濡れた髪を鬱陶しげに払いダモスやマリアに目を向ける。
「無事でなによりです。ようやく魔王代理から外れます。まさか生きて会えるとは思ってもみませんでした。」
 父に向かって静かな声で言う子にダモスは悲しげに微笑む。
「早起きは苦手だったからな。待たせてしまってすまない。間に合ってよかった。」
 ダモスは痛いといっていた頭を軽く叩きなでる。
条件反射のようにすばやく掃うアキラの手をよける。
 
 
 離れた位置にいた3人を指し、ダモスは心配かけたなら謝りなさいといわれアキラは眉を寄せる。あやまらなくていいよという3人の声にあぁ、とアキラは声を上げた。
「3人だったのか。蘇生の力で色彩の判別がつかなくなってしまったからな。
それにそんなに離れていては顔すらわからない。心配かけたようですまなかった。」
 色彩が無いと意外に不便なものだなというアキラにリーズの拳が振り落とされる。
長襦袢の襟をつかみ痛みに眉をしかめるアキラの目をのぞきこんだ。
「確かに目の魔力が低いな…。だから多用するなとあれほどネル神に言われているのに…。このド馬鹿。」
 容赦ない拳骨に机に沈んだアキラからは返答が無い。
再びうっすらと鱗が出ると白く硬化していく。
その様子にリーズは深くため息をついた。
「核がまだ完全に適応していないのか。まったく厄介な奴だな。」
 起きろというが反応がないアキラに再びため息をつくと口元を隠し耳元でなにかをささやく。
何を言ったのか不明だが、それを聞いたアキラは無表情ながらにも若干…一般的に顔色がよいとされる顔色になると跳びのき、うまく立てずにその場に転倒する。



 その後、レオ達がアキラの部屋に入ったとき今までなかった家具や写真が増え、頭を抱えたアキラがリビングでリーズに起こられる姿が頻繁に目撃されることとなった。
当の本人が猛反対をしていた写真はリーズさんが押し切り、リビング飾られている。

 大勢の人に囲まれ黒を基本とした魔界の正装に身を包んだ花嫁と、身分としては花嫁よりも低いためやや抑え目な魔界の正装に身を包んだ花婿の写真はまだ新しい。
 




*補足:アキラは魔生物であるため身分はないです。