研究室へと入った一行は目の前の光景に慌てて目をそらす。
「うるさい!この培養液服につくと2度と落ちないんだから当たり前でしょ。」
「わかった…わかったから…離れてくれ…頼む…。」
「別にたいしたことじゃないでしょ。昔だって普通にレイナと私とであんたを風呂に入れてたことだってあるんだし。
大体、生まれたばかりの獣と同じでまだ自分で立てないでしょ。
あぁ、リザ、服とって。シャワーで流してくる。」
「一体何時の話だ!!!いくら魔人(おれ)には関係の無いことだからって…いくつだと思ってるんだ!!」
「細かい。あたしの一個下で236歳でしょ。200年も生きてやっと人らしくなったと思えば余計なことばかり覚えて…。あぁもう!培養液が気持ち悪い。」
「少しは恥じらいというものを持て!!!」
 再びうるさいと怒鳴る声と反論する声が遠ざかってゆき、一同は視線を戻す。


そこには既にアキラもリーズもいなかったが、グラントとリザが顔を見合わせて笑っていた。
「えぇっと…何があったのじゃ?」
 こめかみに手を当てたままうなるように問うゴークに完全に傍観を決め込んでいたグラントが口を開く。また人形に入っているのか実態はあるようだ。
「意識が戻らないから叩き起こすとかいって服脱いで培養液に入って、卵に向かって念を直接送ったらやっと目が覚めたんだ。
半覚醒状態のあいつを抱えてついさっき出たところ。あいつの叫び声とかすっげぇレアなもんみちまった。」
「姉様はどこか女性らしくないですが、まさかあんな大胆な行動するとは思ってみませんでしたです。
魔人にはそういう感情が無いからといっても…一応夫婦だからいいですけど…。本当に変わらないです。」
 私はいつも見ているだけですと笑うリザに脱力する。

 そういう感情が無いって…と呟いたキフィーの声にダモスが肩をすくめて見せた。
「まぁぶっちゃけてしまえば魔生物でも低い確率ながら繁殖能力があるのに対して、魔人は進みすぎた生物ゆえに繁殖機能が備わっていないんだ。
当然子孫を残したい欲や感情も無い。まぁ一応異性に対しての恥ずかしいなどという感情などは個人差らしいけどね。」
 レイナに対してはあまり無かったなとダモスとマリアに大人の人々はそういうことなのかというが、未成年の3人は顔を赤くした。