アキラの魂が弱った瞬間抜け出すことができたというダモスの表情は複雑そうだ。
今まで何度か弱ったことはあったが出ることはできず、今回出られたということはアキラの魂が今まで以上に弱ったということ。
目覚めた時、まさかと思いマリアの術を解き合流した所でリチャードに会い、アキラは無事だということを真っ先に聞いたという。
「アキラの話になりますが、アキラは訓練所に送られそこで知り合ったのがレイナとリーズ、リザでした。
不安定な核を持っていたレイナに自分の核の欠片を与え安定させていましたが…
15の時、核を暴走させ手しまったレイナから自分の核を外すことで彼女を失ってしまいました。その2年ほど後、リーズにユリシア神様が取り憑き…今に至るというわけです。」
レイナを失ったこととリーズを人質にされたことが今のアキラという人格の土台になったそうだ。
決してアキラが攻撃をしなかったのは大切な親友だからなのかと、辛かっただろうとゴークは神妙な顔つきになる。
「あの子が魔王代理となっていたということは…ドールス家に入ったということか。
自分に疎いから自覚無いとは思うけど小さい頃から一途だったからな。」
よかったよかったとマリアと笑いあうダモスにその場にいた全員は目をしばたかせる。
あ、とレオは手を叩く。
「そういえばアキラが前に手の甲に書かれた封印式見せてくれたけど、その時左手の人差し指と薬指それに小指に指輪してた。
3つもつけていたから普通のアクセサリーだと思ったんだけど…。」
「あぁ、左の人差し指なら密かな誓いを叶えたい時や、精神的に強くなり迷いを払いたい時につけるわね。
薬指は当然愛の誓いだし…小指なら秘密を守るね。きっと誰かに聞いたのね…じゃないとあの子が意味も無くつけるはず無いもの。」
そういう意味があったのかと感心する中、マリアの言葉に疑いは確信となる。
その微妙な表情に気がついたのかダモスは苦笑した。
「あの子のフルネームは昔はアキラ=ノウライ=ヴァルビスだったけど、今はアキラ=ノウライ=ドールス…つまりは既婚者だよ。
でなければ魔王代理にはなることができない。」
何だ知らなかったのかと200年眠りについていた人があの子らしいと笑う。
アキラが魔王代理についたのは20代の頃。
ならばそのあと約220年の間、誰も知らなかったとゴークは頭を抱えた。
「それじゃあ…アキラはずっとその奥さん…リーズさんと戦っていたわけ!?」
「なんか理由があって結婚したんじゃ…。」
あ、でもアキラは一度もマトモな攻撃を仕掛けたことがなかったと気づく。
先ほどダモスが言ったことが本当ならばアキラはずっと…。
ジャックが確認を取ろうと口を開いたと同時に聞いたこともない誰かの叫び声が聞こえ、急いで研究室へと向かう。
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