「夢かぁ…まだ進路先じゃあないの?」
「仕方ないよ。結構あっという間に残りの80年なんて過ぎちゃうって…そうお父さんいっていたし。」
まだ学生じゃんというジャックにレオはため息混じりに答える。
ブラッドだけはまぁこんなものかなと、すらすらと書いている。
それを見ていたアキラは夢かとため息をつく。
そういえばアキラとリーズの夢は一体なんだったのだろうかと、問うとやはり首をかしげる。
「この馬鹿にそうやって聞いても無駄無駄。今の状態でもし自由が得られるなら何がしたい?」
「あぁ…いい。どうせもう叶うことはない。」
そう答えるとガラス戸の向こう、小さな庭へと出る。その背後を見つめながらリーズはため息をついた。
リーズさんの夢はと聞けばそうだなぁ…とやや考えるそぶりを見せる。
「私の場合は大分時間をロスされて…だけど夢は昔から変わんないな。
じっとしているのは性にあわない。だから…夫を持つなら私が働いてあっちが家事をやって息子がいればいいなというのが私の夢だ。
まぁあいつと結婚したからそれはもう叶わないと思うけどな。」
でもそれでも私は幸せだと、微笑む。自分が解放された時、きっとアキラは死んでいると思っていたから、ユーシアが完全に力を戻すまで与えられた時間とはいえ嬉しいという。
「ずっと戦うことしか私たちにはなかったからな…。それに私は家を継ぐ気はないから。」
どうせリザが継ぐんだしとマリアの作る劇物を食い止めるため背を向けてしまった。
その様子をダモスは笑いながら見守る。
「そういえば…ダモスさんとマリアさん…ここにいていいんですか?」
2人とも仕事があるんじゃ…とジャックが尋ねると、明後日の方角を見つつ頬をかく。
そんな大人の姿にため息をつく3人にダモスは微笑む。
「まぁあれだ。アルがやってくれてるさ。それにまだ天界での用事も山積みだからな。アキラから引継ぎしなきゃいけないし。」
慌てて水を呼び出す呪文が聞こえ、ジャックが窓を開ける。
不機嫌な雰囲気のアキラが戻ってくる。
笑うマリアと沈むリーズに目を向け、何かの塊と化したただの劇物を手早く片付けた。
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