静かな洞窟の中、儀式にのとってダモスとゴークは台座へと進む。
そこには龍の面をした神官が立っていた。
龍をモチーフにした衣装をまとう神官に膝をつく。
「和平の証に我に印を。我に永久なる和平の証を。汝らの心の臓に近き体を我の前に。」
 神官の静かな声が洞窟に響く。
その声に従い、左胸をはだけると神官はその場へと両手を置く。
「汝らに嘘偽りにならばここに3龍の印を。汝ら、永久なる平和を誓うか。」
「我が名は魔龍ダモス=トロヘス=ヴァルビス。我らが信ずる神々に永久なる和平を誓う。」
「我が名は天龍ゴーク=ラグナ=カラティン。我らが信ずる神々に永久なる和平を誓う。」
「未来永劫、世界が続く限り我らは共に手を取り」
「未来を担う子らに永久の和平を。」
「「我らが信ずる神々に誓う。」」
「汝らに永久に受け継がれる神々の印を。3龍よ、永久に続く龍を背負いし3龍よ。
我が神の名を間守りのノラ。我誓う。我が永久なる証人となることを。
我が常名をアキラ=ノウライ。我が体に流るる龍の血において両界の王に記す。
永久なる時の龍、誓いの龍、護りの龍を。印として間(はざま)の龍の印を。」
 神官…アキラの両手から血が滲み出し2人の左胸を濡らす。
赤く輝き、アキラが手を離すとそこには3匹の龍が互いに絡みつき、それぞれが己の尾をくわえた印が残される。
アキラはそのまま後ろに下がり、滝が流れる泉へと進んでいく。
だが、泉に体は沈まず水面に波紋を残しながら歩いていった。
その先、滝の前へと進むと滝が割れ、もう一人の神官…リーズが同じように龍の面をつけ待ち構えていた。
 
 
「我、証人を受けおつもの。我が半身よ我に印を。」
「我、我が半身に誓う。我が印を汝に。この身滅びようとも汝が受け持つ印が続く限り証人は続く。」
「汝の血を。」
「我の血を。」
 両手を合わせ、握り合う。
同じ背丈に見える2人は若干アキラのほうが高い。
リーズはアキラの首に噛み付き滴る血を口に含む。
「汝、血を絶やすべからず。この身滅びた後、汝の血が証人となる。我が名は間守りのノラ。常世には居られぬもの。」
「我が龍よ。誓おう。我が血を絶やさぬ事を。」
 龍の咆哮が響き渡り、儀式が終わる。
天界と魔界の長きに渡る戦争が本当の意味で終結した瞬間であった。