しかし、彼らはたいてい一週間は城にいる。
つまり、明日見ようが見まいが意味はない。
あきらめるしかない。
願わくば明日の配置がかわれば開放される。
そう思う輩は互いを呪い、そういえばと役目がほとんど終わった2軍をうらむ。
3軍に至っては、4軍と共に部屋の準備やら、食事の下準備やら、
砂の吐きすぎで気分が悪くなったものの手当てやらで進行形で大忙しだ。
2軍は交代でこの夫婦が何かやらかさないかを見張るだけでいい。
ただ、どんな会話がなされようと、どれほど2人がハートを散らかそうとも、
交代の時間までは陰に隠れて見張っていないといければならない。
交代時間は一時間で交代なのだが、それでもなお、
もう少し早く交代してくれと言う声が毎回あるらしい。
ローズに言われ、キルが45分交代に変更したときは歓声が上がったとか何とか。
一軍は昼と夜間で分かれているが耐えられれば褒美がもらえるためかなり頑張っているとか。
「ローズ君♪ほんともう絶対成長しちゃだめよ〜。この小ささがかわいいんだから。」
「えぇっと…あの…。」
片頬が引きつるが抱きつかれ、押し倒された状態では抵抗もできない。
「クラトカも思うでしょ〜?この華奢な感じがいいのよねぇ。
クゥーちゃんはどうなの?女の子だったらって考えてみて?」
「腕に収まるくらいがちょうどいいな。というよりも何で私に話をふるんだ。」
気持ち悪い、と答えるロードクロサイトだが顔を赤らめるローズにどうした?
と首をかしげる。
「でしょ〜。私もそう思うのよねぇ。クラトカはどう思うの?」
部屋にいる一同は本日何度目かのビックウェーブの予感に顔をひきつらせた。
エメラルダはローズを抱えたままどう?と小首をかしげ、クラトカに問う。
「私はエメラルダ、貴女が好みの異性であるため、
悪いがチューベローズが女性になったとしても貴女以外私には映らない。
仮に貴女が幾人いようとも、私は愛する至高の宝玉を見失ったりしない。
幾人の貴女が全て貴女でも全て平等に愛す。」
「私もクラトカが無数の蝙蝠に混じろうとも貴方を見失ったりしないわ。
もしクラトカが無数の蝙蝠になっても全て受け止めるわ。」
「いい加減にしろ…この…色ボケ夫婦!」
本題からずれて二人だけの世界を作り出す両親に息子がキレる。
いつの間にか周囲にいた一軍の直立している数が減り、
どこにいたのか黒服の二軍が数人倒れていた。
不本意ながら夫婦に挟まれたローズはそのまま熱い抱擁にまで巻き込まれる。
キルは助けに、と一歩踏み出したところで巻き添えを食らうことを想定し、
すみません、と倒れた自軍の兵に駆け寄った。
「まったく…ローズ、生きてるか?」
どうにか救出したローズだがやはり酸欠で目を回している。
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