数日後、結局ローズがチャーリーの技や魔法を教え以前よりはレベル相応になりやっと町を出ることとなった。
「もう魔物は大丈夫そうね。えぇっと…フレッシュミントはどっちだったかしら?」
「フレッシュミントはここから南上した山のところです。
あまり何もない村ですけど自然が豊かなところなんですよ。」
町を出るとチャーリーの案内の下フレッシュミントへと向かう。
最後尾にいるのはローズ達一行だ。
ローズはこのまま村が見えたところあたりで丘に行くこととなっている。
「あまり何もない村で悪かったね。」
ローズにとっても故郷なためかチャーリーに聞こえない程度の小声で若干怒ったように言う。
「自分の故郷を紹介するならそういいませんか?」
少なくとも実家を紹介するときはしますが、と言うキルにローズはまぁねと同意する。
そういえば、とアーチャーとファイターはローズを待つように少し歩調を緩めると小声で話しかけた。
「会わないって事は言わないほうがいいか?」
「というよりも会った方がいいんじゃない?」
事前に会わないといっていたローズを気にかけ声をかける二人に仕方ないでしょと返す。
「ユーに会いたくない訳じゃないけど…ユーは僕を許してくれないだろうし。
ユーにこれ以上嫌われるのはさすがにちょっとね。」
考えただけで涙出てきそうとうつむくローズにロードクロサイトとキルは意外そうな目で見る。
アーチャーとファイターは旅の途中話を聞いていたようでローズの心情が分かるらしいが、
最悪のことを想像し、気落ちするほど仲のいい兄妹といわれてもぴんと来ない。
「ねぇねぇ、チャーリーくん。あそこにいるひとあぶないよねぇ?」
突然聞こえたアイアンの声に顔を上げたチャーリーに釣られるように一行が目をむけると、
女性が木の実を取っていた。
しかしその足場は悪く、女性は足元の木の根に気がついていないのか顔を上げたまま足を踏み出す。木の根に躓き、急斜面から道へ体がぐらりと傾き籠の中身が転がり落ちる。
息を呑むチャーリーが慌てて受け止めようと足を踏み出すと同時に、
光の球が落ちる女性の下に現れ人の形を取ると女性を抱きかかえ、地面に滑り落ちる。
反射的に飛び出したローズが目をつぶっていた女性の髪を撫でると、
目を開けた女性に優しく微笑む。
「まったく…。森を歩くときは足元を見ないと駄目だって言っただろ?
あぁ、足怪我してる…今布の持ち合わせがないからこれで許して。」
目を見開き、口をわずかに動かす初老の女性の躓いた足に添え木をするとバンダナを解き、しっかりと巻く。見る見るうちに女性の目に涙が溜まると、立ち上がろうとしたローズに飛びついた。
「おばあちゃん?」
あまりのことにあっけに取られていたチャーリーが声をかけるとファイターとアーチャーが声をあげ、
その様子にロードクロサイトとキルはまさかと、女性の髪を撫であやすローズを見比べた。
「久しぶりだね…ユー。」
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