「まったくちっこいままでぜんぜん変わらないねぇ。
うら、相変わらずかあいらしいまんまだねぇ。」
ようやく解放されたローズはすぐにロードクロサイトらの元へと戻ると、キルの身長と見比べさくないと小声で呟いた。
「あんたそんな小さな子と比べて情けないでしょうに。で…あんたがシルフねぇ…。
前に来たときはノーストラリアに行ってたから会わなかったけど…。」
頭の先から足の先までじろじろと見回すクラリスにロードクロサイトは首をかしげる。
何かに納得したように頷くとクラリスはまぁいいかという。
「まぁ人外で魔王で同性だけど、許してやるわ。」
「はい?」
「何がだ?」
突拍子も無い言葉にそろって首をかしげる二人だが、キルだけはちょっと、とため息をついた。
「クラリスという方、師匠に勝手に許可出さないでくださいよ。」
「苦労してんだねぇ。まぁ私は一応チューベローズの師匠であり、
二人に託されている身だからね。義理息子の相方ぐらいちゃんと見ないとね。
形だけでもよしといわれるほうが気が楽でしょう。」
それはそうですが…と言いよどむキルと意味ありげなクラリスの目に、
ようやくローズも合点が行き、慌てたように手を振り頭を振る。
「あぁ!!そういうこと…いやっ、あのその進展とか…というかスタートすら…。」
「何をわけのわからない話をしているんだ?」
一人外れたところに手で顔を覆い、恥ずかしいともだえるローズはさておき、
何だと首をかしげるロードクロサイトにクラリスは気にしないと笑う。
「あの召喚術師と同じでよくわからないな…。チャーリーらが手紙もっていたが…」
「あぁ、ノーストラルでしょ。あいつとは古い仲だからね。それじゃあチューベローズ。
風邪引いたりすんじゃないよ。体には気をつけんだよ。」
ロードクロサイトの言葉にわかってるわと笑う。
もう一度頭をなでるとクラリスはチャーリーたちの元へ行ってしまった。
「この勇者一行らについてきてから得た情報はほとんど、
ローズにかかわることのような気がするのは私だけか?」
「それをいわないでください…一応勇者やっていましたし。
みんな変に僕のこと構い過ぎなんですよ。小さい子供じゃないんだからもう…。」
バンダナを外し髪を整えるローズにロードクロサイトが言えば隣でキルも頷く。
バンダナを締めなおしたローズはため息をつくとユーチャリスと共に部屋へと消えていった。
「そういえばロードクロサイト様。あのフジベレストの麓で僕は失礼させていただきます。
情報のためにも登りたいのですが、町にいる際
ジキタリス様にどれほどの光属性なのかと試してもらったところ、
若干眩暈と頭痛がしたので長居できないと判断しました。」
ですので麓までで、というキルにそういえば冥属性を持っていたなとロードクロサイトは頷き、
何かに気がついた様子のキルに首をかしげる。
「ロードクロサイト様は大丈夫なのですか?」
「これでも一応ローズの血を取り入れているからな。それを使って結界を張るつもりだ。
一応一人までならローズの持つ光の水晶が結界を張れるらしいが、
血を取り込んでいるほうがそれを使って共鳴反応を起こせるらしいんでまぁ私はとりあえず平気だ。
いざとなれば、ローズの闇の水晶をどこかにぶち込めばあの山ぐらい簡単に飲み込めるだろう。」
闇の水晶からは闇の力をほぼ無限に引き出せるしな、というロードクロサイトにキルは納得したように頷く。
最近よくロードクロサイトに血を分けているのはただの変態ドMだからではないのかと。
|