フジベレスト〜頂上

 

 ようやく頂上が見えてきたのは登山5日目が終わる頃。
雪はやみ、なんとかレベル的にも辛うじていい感じにあがった頃だ。
「そろそろ最後の試練ですね…。ウェハースの実力がまったく変わらない気がしますが…。」
「まぁあれはもう無理だろう。立てるか?」
 なだらかな道になり、ローズは試しに立ってみる。
なんとか立てることを確認すると名残惜しげにロードクロサイトから離れた。
「多少痛いですがそこまで支障は…。」
「大丈夫そうだな。まぁ最後の試練とやらが終わるまでは運ぼう。」
 見えないところでガッツポーズを小さくとるローズにロードクロサイトは気がつかない。
 
 
「プリーストさん、この扉…なんでしょうか?」
 翌日、チャーリーの声に顔を向ければ立ちはだかる巨大な扉が一行を待ち構えていた。
キャシーとチャーリー、ジュリアンがおつがびくともしない。
ベルフェゴもそばに行くと扉に触れ、少し考え込んでいた。
「兄ちゃん、これ…なんか生きてるみたい。」
 ベルフェゴの言葉に触れていた3人は慌てて手を離し、未だに扉に触れ、
気配を探っているベルフェゴを見つめる。
「えぇ!?ベルフェゴ、本当に?」
「チャーリー君、これが最後の試練よ。この扉を破壊すること。
 けどそれなりに反撃もしてくるから…戦闘準備ができたら合図を送るの。
 そうすると戦闘が始まるから。
 合図は…ロードクロサイト、その固まりおとなしいけど…どうかした?
 そこの石版ローズに読んでもらわないとなんだけど…」
 チャーリーの言葉にプリーストは頷くと妙におとなしい幼馴染を見た。
石版は霜もなにもなく、黒々とした滑らかな表面を扉の脇にさらしている。
ローズを抱えたロードクロサイトもなんだとばかりにローズに眼をむけ、
そこであ、と声を上げた。
 
「プリースト、薬もってるか?」
「えぇええ!!うそぉ!?なんで?毛布かけてたんでしょ?
 なんで?なんでこういう時に風邪引いてるの?タイミングおかしくないの!?」
 ひどい熱ではないものの、
小さく咳をするローズにプリーストは呆れるようなため息をついた。
すっかりまいっている様子のローズを無理に起こすことができず、
チャーリーは石版を見つめる。
そこには文字と呼んでいいのかわからないほど意味のわからない記号が並んでおり、
プリーストを見た。