【魔王様、勇者がフレッシュミント付近に現れたようです。
 一行はモクリア付近のエリークーサ寺院にて待機中。
 一週間以内には海岸に到着する予定です。】
 ようやく現れた一行をセイが5日目にして発見した。
【わかった。5日かかったということは丸一日あっちですごしたんだろう。】
 そのまま様子を見てくれ、というと四天王に声をかける。
「あら?意外に早かったのね。こっちはいつもどおりサポートだけするわ。」
 集まった二人と一匹に伝えるとフローラは道中は任せてという。
「で…ローズはどうした?」
 必要以上に席が近いローズがいないことに首をかしげる。
よくよく考えればセイから直接魔王に連絡せず、ローズから伝わるのだが、それもなかった。
「昨日、昼間に高熱を出して治癒の間に運ばれました。
 今はまだ治癒の間にいたと思いますが…。」
「今は屋敷に帰ったわ。気分が悪いとかでまだ休んでいるけどもね。」
 キルはそうですよね、とフローラに確認を取ると頷き呆れるロードクロサイトに告げる。
「また風邪引いたのか?熱は?」
「いつもどおり40前後。吸血鬼は普通平均して低いですよね。」
「淫魔だってそんなに高くないわ。なんでいつもあんな高いのかしら。」
「ちっちゅっちゅっちちゅう。」
 本当に病弱だな、とため息をつくロードクロサイトに、
他四天王もやれやれとため息をついた。
 
 
 
 念話が通じず、仕方なく屋敷に向かったロードクロサイトはローズの部屋へと向かう。
「あ、魔王様。今ジキタリス様ニョお部屋は結界が張られていて、
 入れニャいようにニャってますよ?セイ様とハニャモモとあたし以外、入れニャいニョ。」
 部屋の前にやってきたロードクロサイトは、
中から出てきたシャムリンに入れないととめられる。
開いていた扉に手を伸ばすが弾かれ、中には入れない。
「は〜〜。そういえば淫魔は就寝中、結界を張るんだったな。
 フローラの屋敷に殆ど行ってなかったんで忘れていたな。また複雑な結界を…。」
 は〜〜んと笑うロードクロサイトはおもむろに右足を上げると魔力を集中させた。
「いやニャよかん。」
 シャムリンがさっとその場を離れると、
ロードクロサイトは見えない壁を蹴破るように足をけりだした。
黒い稲妻が見えた後結界が壊れ、中へと入る。
 
「相変わらずだな…。一週間後にくるらしいが平気か?」
「結界を蹴破らないでください…。
 シャムリンに伝えていただければすぐに開けましたのに…。」
 薄暗い部屋の中、起き上がったローズは入ってきたロードクロサイトを軽く睨む。
「たぶん天界にいたのは一日半かと。」
「随分熱いな。フジベレストに行けば下がるんじゃないのか?」
 起き上がってすぐにダウンするローズの頭に手を置いたロードクロサイトは、
真顔で提案する。
「つっこむ気力が無い時に何言ってるんですか…。
 フジベレストのせいで具合悪くなったんですが…。うぇ…。水…とってください…。」
 気持ち悪い、ダウンするローズに手元にあった水差しを渡す。
「どうせ…どうせそうだと思いました…。」
 受け取ったローズは水差しから飲むローズはあぁもう、と力なく横になる。
「魔力を少し分けてやるから寝てろ。」
「そうします…。」
 薬飲んどけ、とローズに手渡すとグラスに水を注ぎ、渡す。