てっとりばやい方法があるが、なかなか思い切りできない。
それでもあまり弱りすぎては日の光がさらに毒に…。
「しかたない。あ、先に言っていて大丈夫です。回復次第追いかけますので。」
「でも…。」
「兄ちゃん、お腹減った。」
渋るチャ―リーの袖をベルフェゴが引く。
ロードクロサイトはとりあえずデ…ベルフェゴを視野に入れないようにして促す。
「わかりました…じゃあこの先の町で待っていますから。皆、行きますよ。」
「おじいちゃん腰痛めたらしいからアタシが背負ってくね!」
相変わらず甲高い声でキャシーが言うと、パシをその背に背負う。
「ありがとのぅ。おもくないかの?」
「大丈夫!おじいちゃんは心配しなくていいの!」
がやがやと立ち去った一行を見送ると、ロードクロサイトは茂みへとローズを背負っていった。
「飲み過ぎなようにな。」
貧血を起こした吸血鬼を癒す一番早い方法…つまりは血を飲ませればいい。
普段吸う側のロードクロサイトは吸われるのはあまり好きではないというか初めてだ。でも歩ける程度にはなってもらいたい。
「え!?でっでも…。」
「いいから早く飲め。あの馬鹿一向を見失ったら面倒だからな。」
迷惑をかけたくはないが、飲んでも飲まなくても迷惑が…。
意を決したようにローズは本能のままに首筋に噛み付いた。
「いっ!!!ちょっそこじゃ…」
「あ、よかった〜早かったんですね。
と…どうして今度はロードクロサイトさんが具合悪そうなんですか?」
「いえ、ちょっとしたエルフの呪文で元気を分けてもらったんですが…取りすぎちゃったんですvv」
ゆらりと怒気にも似たオーラが出ているが、
それを発している本人は力なくローズの肩につかまっている。
「あ、先宿はいっていていいですか?ロードクロサイト様をご休憩させたいんですけど。」
チャーリーにつれられ、宿へと入るとロードクロサイトを部屋に寝かせて外に出る。
本当は傍に居たかったのだが、具合が悪いならば一人にしてあげなさいとネティベルに言われ、
しぶしぶ出てきたのだ。
特に行くところもなかったので二人についていく事にした。
他のパーティーは現在自由時間だそうだ。
お茶屋へ立ち寄りしばし雑談を交わす事となった。
「それにしても…エルフの呪文って自己犠牲型なんですね…。」
お茶をすすりながら首をかしげているのはチャーリー。
「エルフの呪文は人の世界に来ないからねぇ…エルフにしか扱えないのかしら?」
ファッション雑誌を見つつ興味ありげに聞くのはネティベルだ。
ベルフェゴは道中食べたきのこが原因で宿の別の部屋に寝ているらしい。
「えぇ。まず無理でしょうね。まぁあれは普通やるようなものじゃないし、ロードクロサイト様も初めて使った呪文なんで…もう使ってはくれないと思うけど…。ロードクロサイト様のことだから明日には元気ですよw」
吸血行動でとられたHPも一晩眠るだけでレッドゾーンから全開できるらしい。
彼の持つHPが元々高いため、一日で治るのは流石に最強と歌われる魔王としかいえない。
「ものすごい魔力の持ち主なんですね…。隠してはいるみたいですけど…。」
「えぇvそりゃもちろんvvvロードクロサイト様は僕が知っている中でもっとも強く、
ステキな方ですからwwww」
大好きなロードクロサイトに迷惑をかけまいと抑えてはいたようだが…ハートマーク全開でデレデレと語りだす。
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