パタパタと走る音にロードクロサイトは顔を上げると
三毛猫の猫又が荷物を持って走っていくところであった。
「ミッケ、何をそんなに急いでいるんだ?」
「まっ魔王様!…ニャにしているんですか?」
手に付いた土を払い立ち上がった魔王にミッケは首をかしげる。
だいたい今いるのはジキタリスの屋敷領内だ。
魔王城内ではない。
「ローズに頼み事で魔力を使ったんで、薬草をかじっていたところだ。」
「ニャるほど…ってニャまニョを食べてるんですか!!苦くニャいニョ?」
魔力回復にいいんだ、と言って木の芽のようなものを齧るロードクロサイトに
ミッケはしゃがみこみ、別の芽を口に運ぶ。
「ニャアアア!!」
「渋いから気をつけたほうがいいぞ。
だから先に痺れキノコで味覚を麻痺させてから…そのまま食べて平気か?」
荷物を抱え、走り去るミッケにロードクロサイトは苦そうだな、と呟いた。
「ん?キスケか?」
ガサガサという音に目を落とせば小さなハムスターが顔を覗かせている。
手を伸ばせば飛び移りそのまま肩まで駆け上がってきた。
「ちうちっちちう?」
「あぁ、四天王全員にかけている魔法のことでな。ドルイドンはもう平気なのか?」
どうしてここにいるのかと言うキスケに、ロードクロサイトはあれだ、
というと治癒の間にいなかったドルイドンについて聞く。
「ちっちうっちちゅっちちゅうう。」
「そうか。まぁ元気そうならこのまま戦線離脱したまま休養させてやってくれ。
それといつでも出られるよう準備しといたほうがいい。
そういえばキスケは対勇者戦は初めてだったか?」
現在は屋敷の地下水路である自室で休んでいるという。
その言葉にロードクロサイトは避難しててよかったな、と心の中で呟き、ふと思い出す。
頷くキスケをつれ、城へと戻っていった。
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