四天王の間…勇者一行を最初に出迎えるのは幻術と妖術の軍、4軍フローラだ。
動きやすいパンツをはき、武器を装備する。
彼女の持ち場は霧深い沼の巨大迷路。
実際の部屋としては無限迷路なんてありえるはずがないのだが、
四天王の間には古の魔法がかけられ、
四天王が破れるまで異空間に勇者もろとも飛ばされるのだ。
負けた四天王は証として宝玉を渡す。
それを次の部屋に続く扉にはめれば扉は開き、次に進める。
一度かってしまえば入り口に魔法陣が現れ、
城に入る際最後に現れた魔法陣まで一瞬で移動できるようになる。
四天王の代わりに副将がその任をおっても、
各隊隊長3人がその任をおっても良いが、その場合自ら撤退しない限り、
勝つか死ぬかの2択となる。
四天王は相手の力量に合わせ出撃するか否かを決めるのだが、
四天王が全員出たのは過去に2度のみ。
前魔王の時代でまだ魔界人の種類が少ない時代と、
今の魔王、ロードクロサイトの代…銀月の勇者の時だけだといわれている。
前魔王の時代の勇者は神々に与えられた道具を巧みに使う戦術で四天王を倒し、
魔王の4本ある腕のひとつを切り落とした。
逆鱗に触れた勇者一行は前魔王の魔法に破れ、死んだというよりこの世から跡形もなく消滅した。
一方銀月の一行は四天王のうち一匹を葬り、銀月の勇者は単独で四天王長を葬った。
また、2軍の長の魔力を断ち切り、二度と魔法が使えない身体にしたのだ。
フローラは以前戦った勇者…銀月の勇者チューベローズとの戦いを思い返す。
無限迷宮は絆を分かち、幻覚へと追い込む幻術と妖術の軍らしい精神攻撃の礎に過ぎない。
本来ならば自分と対峙する時には精神的にも疲弊しているはず。
これまでに彼女が相手してきた勇者はみんなそうだった。
ロードクロサイトの戦いたい、と言う言葉に迷宮を抜けられれば勝ち、という風にしてきた。
しかし、銀月の一行はどんなに引き離しても、
まるでそこにいるのが分かっているかのように互いに疲弊せず、自分と全員そろって対峙した。
「また武器振るわなきゃだめそうね…。アナンタ、イルヤン。準備しなさい。
今回は出てもらうわよ。ユルングも含めてね。」
「分かってるよ。」
「“コレ”ハボクガ持ッテイル。」
迷宮の最終点検を終えたフローラは後ろに控えている少年らを振り返る。
懐へ何かをしまうイルヤンはアナンタと頷き合い姿を消した。
フローラもすぐに其の場を立ち去り、
静かに勇者一行を待つ迷路だけが霧に覆われ姿を隠す。
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