不気味なほど魔物に出会わなかったチャーリー達は目の前にそびえ立つ
おどろおどろしい城を見上げた。
ここに人々を脅かす魔王が…それを守護する四天王がいる。
そしてあの人も。
「皆、武器は大丈夫ですか?」
振り返ったチャーリーに仲間達は頷いた。
思えば随分たくさん仲間がいるんだ、と改めて思い自分の性である“絆”の力を知る。
魔王城でめったに人死には出ないと亭主は言っていた。
それでも負ければここにくる資格はなくなる。
そして勇者としての力を失い、紋が目に見えなくなると。
例外は亭主の知る限りでもたった一人らしい。
紋は勇者としての目印で今は見えているが、魔王に負けると紋は目に見えなくなり、
死ぬ時に再び現れ、魂を経験や力と共に天へと持ち帰る…と。
銀月の勇者は魔王と戦う資格を失うことなく、敗れた後も…今もなお、
その力を所有し続けている。
強すぎる力に紋が死ぬ瞬間までの主として認めてしまったからだと、天界にいる時教わった。
改めて一人ひとりの顔を見る。
「準備万端です。」
家政婦のような姿をした格闘家ジュリアン。
「いつでも行けるわよ。サポートは任せて。」
一行を常に束ねてくれた白魔導師ネティベル。
「持てる力の限りを出し尽くそう。」
同じく一行を束ね自分をも引いてくれた暗殺者エリー。
「絶対勝ちましょうね!」
ネティベルの弟子でベルフェゴの友達でもある黒魔導師ポリッター。
「がんばろう!!今度おいしいごはん作るね!」
大柄な姿で心も広く、優しくて明るい射手キャシー。
「――――――。――――――。―――。」
普段の声は聞こえないけれども不思議な歌を歌い、
魔物を召喚する吟遊詩人改め、召喚術師ジミー。
「ジミーくんがねぇ。がんばろうって。うちもやるからがんばろうね!」
ジミーの歌声に合わせ踊ることで、魔物を召喚する儀式を舞う踊り子アイアン。
「わっわしは手伝うことも何もできないが、精一杯応援しておるよ。」
途中離脱してしまい、現在は離脱しながらも付いてきてくれた騎士パシ。
「兄ちゃん、俺もできる限り頑張るから。」
自分のせいで今まで迷惑をかけてしまった剣士であり弟ベルフェゴ。
「おっおいらもがっがんばっる…。まっまかせて…。」
魔物でありながらも自分に力を貸してくれた魔剣士ウェハース。
こんなにも多くの人が自分に力を貸してくれた、とチャーリーは1人心の中で頷き、
感謝の言葉をうちでする。
「それじゃあ…行きますよ。」
周囲は深い堀で囲まれた城へ続く跳ね橋へと向きなおった。
一行を待ち構える大扉は細やかな装飾が施され、ノーストラリア城よりもはるかに豪華だ。
だが、同時にどこか禍々しくも見える。
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