魔王の右腕・・四天王のトップとなった彼は魔王とともに実家近くへ来ていた。
偶然近くを通りかかっただけであったが、31年ぶりとなる実家…
まだ魔界人になって日も浅い(?)事からふいによってみたくなった。
勇者だった時代に別れを告げてから今にいたるまで顔を見せていなかった…。
自分に良くなついていた妹は今どうしているか気になる。
多分今頃家庭を持っているだろう。
昔のメンバーももしかしたらいるかもしれない。
「魔王様〜。ちょっと寄り道しません?」
「ん?まぁそうだな…。目的地はすぐ傍だし…どうかしたのか?」
最近ローズに言われ結い上げた髪を揺らし聞いた。
今日は曇りと言うこともありフードは被っていないため、見えるうなじにローズは一瞬目を向け、心の中で悶えた。
(やっぱり髪をポニーテールにして正解だった〜。うなじが白くて…あぁvvvv)
「ちょっと実家が近くて…。自分ひとりでもいいんですけど…。」
「それじゃあ耳は隠した方がいいな。」
同行してくれるという事でローズの目は輝いた。
まだ城の中にはローズのことを疑っているものもいるが、最近ではめっきり少なくなった。
そのおかげか、2人が少し抜けるといってもべつだん魔王軍は疑いもなく、
行ってらっしゃいと声をかける。
普段着に着替えた2人はそのまま徒歩で村へと向かった。
村の中に入るなり2人に目を向け、驚く声が上がった。
ロードクロサイトは髪を団子にし、布で覆っているおかげで怪しまれてはいない。
「おっおにいちゃん!?」
「久しぶり〜。元気だったかい?ユーチャリス。あ、もう子どももいたんだ。」
微笑むローズの正面に、この騒ぎに外へと出た女性が立ちすくんでいた。
背には眠った子どもがいる。そして畑仕事をしていたであろう男性も出てきた。
「あ!!ソーズマン!お前が結婚したのか〜。いや〜びっくりした。」
「ローズ!!お前生きてたのかよ!!31年間も音沙汰なしで…。全然変わってないじゃないか。」
再会したかつての仲間とハイタッチをかます。
48歳になっているはずのローズがまだ若いままだという事に疑問を抱いているようだが、再会の喜びを隠せない。
「もっちろん。この通り無事だよ。」
「よかった…本当によかった…で、そっちは?」
「シルフと言います。」
「この人に助けてもらったんだよ〜。」
かつて魔王と対峙したことのある仲間はやや眉を顰めるようにして問う。
そのことに関しては事前に打ち合わせしていたので、問題なく焦らず答えた。
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