「あ、そうそう。僕もう勇者じゃあないから。今は軍の幹部の長やってるんだ。」
「へぇ〜。何処の軍?最近大きな国はないと思うけど…。」
 ソーズマンは首を傾げる。
とりあえず信頼していた仲間が危ない道に走っていることには、
溜息1つで気持ちの整頓を終えたらしい。
両親もそろって首をかしげた。
と言うことは…シルフと言うのはどこかの軍長かもしかしたら国のお偉いさんではとまで考えた。
「まぁどこかはいえないけどね。機密♪」
 微笑む彼に4人はどこか納得の行かない顔で相槌を打つ。
「さてと…そろそろ戻らないとですね。フローラ達がうるさそうですね…。
シルフ様、今日はお付き合いいただいてありがとうございましたvv」
 ふと、外を見たローズは長い時間いたことに気がつき、ロードクロサイトの肩をたたいた。
「あぁ、もうそんな時間か。もういいのか?」
「はいwそれじゃあ父さん、母さん、ユーにソーズマン。」
 首をかしげ、問うロードクロサイトの隣でテキパキと身支度を整えた。
 
「おにいちゃん…」もう行っちゃうの!?」
「せっかくなんだから泊まってきなさいよ。」
「う〜〜ん…でもねぇ…。今日中には帰るって言っちゃったからねぇ。
また近く通った時にでもくるよ。」
 腕を引かれ、ロードクロサイトも立ち上がる。
その拍子に水色の髪がはらりと顔に落ちるが、家の中にいる4人には気がつかなかった。
が、その色に外でひっそりとやり取りを見ていた女性が気がついたように口に手を当てる。
 
 
「それじゃあ。まったねぇww」
 手を引かれていても本人はさして気になっていないようだ。
引きとめようとする家族を尻目に2人は立ち去っていく。
「まっまぁお兄ちゃん元気そうだったし・・・幸せそうだから…良かったね。」
 嵐のような兄の訪問に一同はぽかんとする。
そんな中、ソーズマンの腕を引く女性がいた。
 
「プリースト?どうかしたのかい?」
「ねぇ、おかしいと思わなかったの?チューベローズの外見。」
 そういわれ、はたと気がつく。
家族もそのことに今更ながら気がつき、首を傾げる。
「それともうひとつ、気になることがあって・・アーチャーとウィザード・ファイターは隣の村よね。
ちょっとあとつけてみない?本当はシャーマンがいてくれればいいんだけど…。」
「そうだな…。行ってみるか。確かに外見が変わっていないのはおかしい。それに…あの男どこかで見たような気もしないでもない…。」
 
 2人はどうして行くと言い張るユーチャリスをつれ、ずいぶんと遠くに見える2人の後を追った。
 
 
2人がついた先は足場の悪い岩場…。
『このド変態!ほいほいと遊びに行くなんて!!』
 聞きなれない言葉が聞こえ、3人が何とか見えるところへと向かうと一人の女性がローズに対して激しくなじっているところであった。
それに対してローズも言い返しているが、3人には理解できない言葉…。
だが、それもすぐ思考が断ち切られる。
 言い争う2人に30年前見た…いやつい先ほど見た男が近づいてたのだ…。
 
 
「だから出かけるって言ったじゃん!!もう忘れたのおばさん!」
「まったく。大体、外見がそれでは怪しまれるんじゃないの?」
「あぁ、スルー。大体僕がへまするわけないじゃん。しっかりインキュバスの力の1つ、 思考低下の魔法を使ったから。誰も気にしてないって。あぁ、魔王様ぁんwやっぱ私服も良いけど…
軍服が素敵です〜〜vv」
 着替えを済ませたロードクロサイトが2人の元へいくとローズが飛びついた。
 
「あぁ、ありがとう。フローラ、私が承諾してしまった事だし…。」
ローズを許してやって欲しいというロードクロサイトにフローラは大きく溜息を飲み込み、
笑顔で承諾した。
「次からはあの馬鹿参謀にも報告してください。それとローズ、早く服を改めなさい。
部下に示しがつきません。」
 そういいのこし、フローラはロードクロサイトに用事があったようで2人そろって立ち去った。
「わかってるって。あぁ、ハナモモ、ありがとう。」
 駆け寄ってきた薄い赤色の犬のような魔界人から衣服を受け取る。
「ジキタリス様、モモ心配しました。無事お戻りなされてモモは嬉しいです!」
 小さな子犬のように飛びつき、千切れんばかりに尾を振る
ローズの腹心の部下であり、副将のハナモモをよしよしとなで、落ち着かせた。
「ごめんごめん。ふと思い立って実家見てきただけだからそう心配しなくても良いよ。そうだ。」
 ローズが続けたの言葉に、ハナモモは全身の毛を逆立て、赤く染める。
いつのまにか2本に増えた尾を振りまわし、激しく頷く。