「あのグレムリンを倒さないと進まないようだな…。」
連続しての魔法にぐったりとするポリッターに一瞥をくれるエリーは、
戦闘不能になってしまったネティベルとキャシーを見る。
一応チャーリーの魔法でも回復できるが一応前列での戦力。
これを削ってしまうわけには行かない。
一度作戦を考え直さないと、と考え周囲に目を巡らせた。
「なんか嫌な気配がするけど…。なんだろう?」
疲労困憊で実質戦闘不能になったベルフェゴは気配を探るが相手が小さく、
うまく感じ取れない。
ジミーは次の召喚獣を考えるが、何かを探すような非戦闘的なことの出来る召喚獣がわからない。
何せ召喚士として自覚したのがわりと最近なのだから、
攻撃や回復の命令を下すために呼ぶ方法しかわからなかったりもする。
唯一、海を渡るのに便利なのは唄で知っていたが…。
不意に草むらが動き、グレムリンが顔を出す。
「ソロソロ砂ドケイ、落ちル…この技、生き残ッタラココ宝玉アゲルヨ。残レバネ。」
そう一行に告げるとキスケは全身に魔力をため、青白く発光し始める。
「ハムスターは好きですが悪い子にはお仕置きです!」
ジュリアンが飛び出し、エリーも続いて飛び出す。
しかし、相手の的が小さく狙いを定めにくい。
体をひねり、攻撃をかわすキスケはジュリアンの背に飛び乗り、
そのまま背後へと降り立った。
前に移した勢いでたたらを踏むジュリアンは体を反転させ、すぐさま体勢を整える。
エリーもすぐに反応し、短剣を投げるが軽がると避けられ、小さく舌打ちをした。
かなり多く持ってきているとはいえ、短剣だって無限ではない。
直接切りかかるとキスケは姿を消し、帽子を踏みつけると背後に降り立ち、
エリーの足を大きく払った。
すばやく足を下げるエリーだが、わずかに足が当たりバランスを崩しかける。
今だ発光したままのキスケは一行の位置を考え、頃合だと一人頷くとあの穴へと移動した。
追いかける一行ににやりと笑うと穴から魔力を一気に流し、全体へといきわたらせる。
動物の表情の変化にチャーリーははっと気が付くが、
大きく地面が揺れたことで仲間へ忠告が遅れた。
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