「ユーチャリス、お前は下がってなさい。こんなのが…あの勇者チューベローズなはずがない!!
魔物め!」
前に出ようとするユーチャリスをソーズマンが制する。
そして否定するかのように叫ぶと仲間共々武器を構え、殺気を漂わせた。
 
「惨いなぁ…。ほら、勇者の紋があるだろ?それに…この剣が何よりの証拠だよ。」
心外だとばかりに顔をわざとらしくしかめると軍服の前を肌蹴、左肩に刻まれている痣を見せる。
自由と正義の天の印である羽と踊る炎のような勇気の記し…勇者の証…。
そして5人の前に突き出す伝説の剣‥
 
「!それは…あの時洞窟で見つけた…。」
 
「あ、覚えてんじゃん。そ、伝説の剣…エクスカリバー。あぁ、やっと来たよあのおっさん。
普段四天王ってさ、勇者と戦わないから初めて会うよね。四天王ホースディール。
一応参謀だけど馬鹿でさ。今回を期に引退するらしいし、最後の思い出に…
と思って呼んでみたんだ。」
 岩男のような巨体が現れ、ハナモモが慌てて追ってくる。
『おいくそがき。いきなり呼びつけるとはいい度胸だな。ん?あぁ懐かしいな。
お前の仲間だった奴らか。』
 ホースディールはごつごつとした指を5人の人間へとむけた。
なかには見慣れない女性が一人いたがまぁ他は見たことがある。
『そうだよ。でもさ、やっぱりかつての仲間に攻撃するほど落ちてないんだよね…。』
『だからわしに…か。下郎な奴よ。』
 つくつとその巨体からは想像できないような笑い声を上げ、ホースディールはローズを見下ろした。
別にそんなつもりは無いんだけどなぁ〜と頭をかくローズ。
『あぁ、一応殺したりしないでよ。…っとそれとあそこにいる女性と、その隣で剣を構えている奴。まぁ剣士の方は武器奪うくらいはいいけど、なんも持ってないあの女性には傷1つつけるなよ。』
『みりゃわかる。妹だろ。まぁせいぜいわしにできるのは空間転送のみ。
わかっていて呼んだのだろが。』
『あれ?そうだったっけ?まぁいいや。じゃあ森の外に転送しといて。』
 とぼけたようにいうローズにホースディールはため息をつく。
 
 
 そして次の瞬間には不気味な笑みをその顔に載せた。
『武装は解除してもらうがな。』
「というわけで…僕はまだ片づけがあるから。それと、武器を捨てた方が良いと思うよ。
おっさん、武装解除にはうるさいから。できれば…このまま無傷で帰って欲しいんだけどね…。」
「ふざけるなローズ!!!」
ソーズマンが剣を握り締め、憤怒の形相で力を貯める。