「どちらかが偽物…か。」
 エリーの言葉にとりあえず二人のネティベルはお互いをつねってみるが、
痛いだけで何も変わらない。
「困ったわね…。仕方ないわ。ポリッター、私に質問して頂戴。
 私に化けようなんて冗談じゃないわ。」
「私も同意見ね。なんでも聞いてちょうだい。
 私に化けようなんて100万年早いわね。」
 さぁ、と睨むように見る二人にポリッターは怖気づくが、えぇっとと考える。
「そっそれじゃあ。先生しか知らないようなことと言えば…。
 何が出るかなキャンディーで食べた味を1回目、2回目を答えてください!」
 そうだ、と思いつくポリッターの言葉に一行は首をかしげる。
その危険そうな飴は一体なんなんだろうか?
「じゃあ私からね。1回目は苺味よ。
 セスみたいにドリアンだったら2度と食べなかったのに…。」
「次は私ね。2回目は生魚よ。2度と食べたくないわ。
 私、刺身嫌いなの知ってるでしょ。」
 二人の言葉にますます一行の頭にはクエスチョンマークが跳びかう。
苺はともかく、後に出た味が到底飴とは思えない。
 
「あぅ、合ってる…。じゃっじゃあ、僕の師匠とえぇっとあの人は!?」
「イチイでしょ。馬鹿弟の。」
「ヴォルト。軽犯罪歴1000を超える指名手配犯で、貴方の遺伝子提供者。
 もとい、馬鹿の元。」
 三人の会話についていけない、とばかりに頭を抱えるエリーはポリッターをみる。
やはり正解だったらしく、あうぅぅと呻いていた。
「さて…どうしたものか…。」
「これは…困りましたね。」
 唸るエリーにチャーリーも何か違いはないかと見比べるが、
ポリッターがわからないのにわかるはずがない。
 
 
「そうだわ。ジュリアン。貴女、直感で私のどっちか殴ってくれない?」
「そうね。ジュリアンならたぶん直感でわかるわね。」
 あぁ、と顔を見合わせてそうだわと提案する言葉にジュリアンは眼を瞬かせた。
気配で探ろうとするベルフェゴもまた頭に疑問符を浮かべる。
その瞬間、ぞわりと何かの気配を感じ、驚いたように仲間を見つめた。
「なっなんでわっわたしなの!?ジュリアンのわかるように説明してください!」
 驚いたジュリアンの言葉にチャーリ兄弟はそろってうなずく。
エリーも困惑した表情で見つめ、どちらが偽物かを見極めようと見比べた。
「だってねぇ。エリーのことで私に焼き餅焼いてるじゃない。
 だからそれを生かしてね。」
「そうそう。あなた本当に私の偽物?すっごい意見が合うんだけど…。
 まぁそれもジュリアンの拳でわかることね。」
「ジュリアンが私のことでネティベルに嫉妬?なんだ?」
 頷き合う2人にますます意味がわからなくなるエリー。
顔を真っ赤に染めたジュリアンは慌てて手を振るが、強くこぶしを握り、目をつぶる。
「ネティーの馬鹿ぁあ!!!!いいですよ。
 目をつぶってなんとなく嫌な方を殴りますからね!!」
 もう、と怒るジュリアンにますます意味がわからなくなる仲間達。
目を閉じ、体制を低く構えるジュリアンにベルフェゴが早く探らなきゃと同じように目を閉じる。
 チャーリーが止めるのも間に合わず、ジュリアンが拳を突き出した。
ひらりと避けたのは驚いた顔のポリッター。
目を開けたジュリアンもまさかポリッターに拳を向けたとは思っていなかったらしく、
目を瞬かせて2人のネティベルを見比べる。