「さてと…次は四天王長戦ね…。チャーリー。
あのプリアンティス、本当に四天王長なのかしら?」
エリーが髪をまとめ、いつものように帽子にしまうとネティベルはそう切り出す。
次はいよいよ四天王4人目…。
伝説の勇者が来るのか、あの赤毛の女が来るのか。
「僕もそれを考えていました。
大伯父さん…チューベローズさんは魔王ローキと仲が良かったですし…
恐らくは魔王の次に位置していると思います。
なので、もしかしたらプリアンティスはあの時、
2人がエルフと偽っていたために出てきただけなんじゃないかなって…。」
考えるチャーリーにベルフェゴは同一人物だと言いたいが、
どこで見張っているかもしれない大伯父に口止めをされている以上言えない。
「そういえばー。あのプリ…テスってどんなわざつかうのぉ?」
ねててわかんない、というアイアンの言葉にネティベルはそういえば、という。
「あのプリアンティス、確か鎌鼬を使っていたわね。
直後に気絶したからあまり覚えていないけれども…
チャーリー、貴方はどう思う?」
忘れもしないあの闇属性の攻撃。確か“死風鎌鼬”と言っていたはず。
鎌鼬を使うのは元祖であるチューベローズとソーズマン。
そして孫のチャーリーとあの赤毛の女。
3人には共通点があるが、あの赤毛の女だけはチューベローズ以外共通点がない。
というか、彼が自分の技を教えているのはなんとなく考えにくい。
「確かにあの構えと技…。間違いなく鎌鼬でした。
でもあの時チューベローズさんは魔王と一緒に見ていましたが何にも反応してなかったですし…。」
「あら、確かその時ってあの狐がいたんじゃないのかしら?
だとすると…まさか同一人物なんてこと…。」
あれは間違いなく鎌鼬だというチャーリーに、あの前後を思い出すネティベル。
確か銀色の狐を見たとポリッターが言っていたはず。
ポリッターに化けていたし、まさかあの時いたのが偽物だったんじゃ、
とネティベルは思うがちょっと考えるだけでも気持ちが悪い。
「そういえばポリッター君の見たという銀色の狐…。
あのタマモとかいうのでしたらあの時は化けていて、そのあと合流した可能性もありますよね。
でも…いや…はっきりいってそれはちょっと…ないんじゃないのかなと…。」
否定するチャーリーにベルフェゴはまたもや同一人物だと心の中で叫ぶが、
あれだけ脅されたために顔にも出せないのが歯がゆい。
ひっそりとため息をつくと、ベルフェゴはするめをかじった。
しんしんと積もる白い雪。
ローズは目を閉じるといつも見える白い世界に小さく息を吐いた。
雪は冷たくて寒くて、静かで嫌いだ。銀色の世界には何もない。
死と隣り合わせ。
でもそれがとても綺麗で居心地のいい世界だということも知っている。
化け物とののしられ、一時期はその銀色の世界に捨てられた。
その時から自分は勇者で愚かで馬鹿だった。
どんなに切望しても求めることは許されなかった…そう信じていたから…。
黒い宝石がはめ込まれるのを気配で知ると、脳裏に見える世界を赤く染め上げ、
勇者一行が四天王長と戦うこの部屋に光の魔法をちりばめた。
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