何を投げたのかはわからないが、嫌な予感がするロードクロサイトは念話を飛ばし、<自身も切り替えていた夜目を元に戻すと、白い光に手で目を覆う。
「何今の光は…。」
夜目は持たないが、夜でもそこそこ見えているフローラはまぶしさに咄嗟に顔を伏せていたため少し目がくらむ程度だったが、コウモリから聞こえる絶叫に顔を青ざめた。
「まさか夜目の切り替えが間に合わなかったの!?」
「切り替えるのがまだ慣れていない…。フローラ、今すぐケアロスらに治療の準備を。精霊共から全樹の葉を集められるだけ集めてくれ。」
今の光のせいでコウモリが傷つき、移動に必要な黒い渦を作り出せず、ロードクロサイトは仕方がない、と闇の移動呪文を使う。
指示を出されたフローラは念話でケアロスらに指示を出しながら自身も治癒の間へと走った。
両目を抑え、絶叫するローズからあふれる魔力がキャシー、アイアン、ベルフェゴに容赦なく襲いかかり、一撃で戦闘不能に陥らせる。
明かりがともった洞窟は元の一番最初にシィルーズと戦った洞窟に戻っていた。
先ほどのローズからあふれた魔力により空いた天井からは曇り空が若干覗き、元々の明かりもあって十分な明るさになっている。
「一体何が…。」
「どうやら…あの強烈な光によって眼が焼けたらしいな…。」
なんとか闇属性の風を乗り切ったチャーリーに大きく肩で息をするエリーが相手に何が起きたのかを冷静に分析する。
びりびりと来る殺気に全身の本能が警報を痛いほどに打ち鳴らし、ポリッターに至っては体力はあるものの戦意をなくしがちがちと震えているのみだ。
何かを袋から出そうとするローズだが、左腕のダメージもあり痛みと混乱で手が震え、せっかく取り出した小瓶を落としてしまった。
「イタイ…イタイ……………フフ…あはははは…イタイ…あははははははは」
両目から血を流すローズは不意に抑えていた手を離すと不気味な笑みを浮かべ笑いだす。
ぞくりと氷が背筋を伝う感触がし、咄嗟にエリーはジュリアンとネティベルを突き倒した。
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