「だからって…日の光にやられてんじゃないですか…。一度宿に戻りましょう。」
 魔力で編み出した服とは違い、ばれないよう普通の服を着ているため、
変身した際一緒には変化しない。
 それをわかっているローズは服がある宿へと提案する。
「なんでだ?魔力で編み出せるから大丈夫だろう。」
「常時使っている魔力の半分を消費しているんですから無理しなくても大丈夫です。
大体ここで戻って見られたりでもしたら…。…あ、抑えている魔力を解放しないでくださいね。」
 ローズは素早く気配を探るが…まぁたしかに今は誰もいない。
念のために窓付近にいるかどうかも確かめるがこの辺一体はどうやら無人のようだ。
 
 だからといって気を抜いていいわけではないが。
 
「じゃあいいですか?10秒でいいですから待ってください!!!今とってきますから!!!」
 別に大丈夫だと言うロードクロサイトをそのままに、ローズは瞬間移動呪文(テレポ)を唱え、
姿を消す。
 ただ待っているのも10秒とは言え暇なので、とりあえず人の姿に戻り、魔力を変化させた。
 
 
 壁に入ったひびからするりとローズは出てくると同時に、脱力する。
「だから…抑えた魔力じゃ充分な形にならないって言ったじゃないですか!!!
まさかそんな格好で外に出るつもりだったんですか!?」
 軽装過ぎる格好にローズは大きくため息をつく。
「あのなぁ…ローズ…そんな事するか。だから待っていたんだろう。」
「全くもう…。後ろ向いてますから…あぁそうだ。付き猫いないんだった…。
手伝いますから早く着替えてください!!!じゃないと襲いますよマジで!!」
 仕方ないとばかりにローズは辺り一帯に結界を張り、人間が入らぬようにする。
 
最後の発言に対し、首を傾げるロードクロサイトの着替えを手伝う。
「ところでローズ…さっきの最後の言葉…。」
「あ、結界に誰か触れてます!解くので早く移動しましょう。」
 その言葉にロードクロサイトは気配を探り、あの白魔導師の気配を見つけ、
ローズとともにその場を立ち去る。