「あの人…レベル高いですからね…。こっちには来ていないみたいです。」
「あぁ。ん?あれって…確かジミー=メイデンとか言う…。」
ロードクロサイトが示す先にしゃがみこんでなにやら地面を掘っている帽子姿の青年がいた。
日に当たっている場所のはずが何故かそのあたりだけ暗く見えるのは…
気のせいだろうか。
「なんか…思い出したくも無いような人を思い出すので放っておきましょうよ…。」
「確かに。関わってはいけない気がする…。」
ジミーは何かを掘りだしてはそばのバケツへと入れている。
そのシルエットがいやに細長いのは…
きっと吟遊詩人だし、鳥たちに与えるのかもしれない?と、変に納得する。
ふと、ジミーはその作業が終わったのか背負っていたウクレレを手に木に寄り掛かる。
「あぁ、何か詠うみたいですね。聞いて来ます?」
どうせ暇な2人。その場で聞くことにした。
しかし…問題なのははたして彼が詠った所で人に聞こえるかどうか…。
ウクレレを弾き、ジミーが口を開く。
以外にもか細くだが声は聞こえる。
ふと、その歌詞を聴いていた2人の顔色が興味津々から徐々に変わっていく。
「ローズ…これはまさか。」
「一応詩にはなっていますけど…どう聞いても召喚呪文ですよね…。」
若 干彼の影の部分が揺らいでいるようだが、とりあえずは出てきそうには無い。
「召喚術師と言うことですよね…多分。本人物語だと思っているようにしか聞こえませんが。」
「発動しないところを見ると…あれか。儀式をして出すタイプか。」
ふと、どこから現れたのか、どうみても踊り子に見えないような
馬鹿(アイアン)が踊りながら進み出てきた。
「まさかあれが儀式じゃないですよね…。」
「さぁ…。しかし…儀式の舞いに似ている事は似ている様な気がする…。」
程なくしてジミーの唱声が終わる。
それと同時にアイアンの動きも止まる。
そして影からアーシーズが出てくる。
よし、異常なし。
・
・・ん?
「…なんですかあれ?」
「召喚精霊4大元素の土精霊アーシーズ。召喚ではB級かC級か…。
ほっといても消えるようなもんだが…。」
ごつごつした変な岩男っぽいものを2人は影から見る。
呼び出した本人達はあまり動じていないのかアーシーズは用も無いのに呼び出され、
悲しげな背を向けつつ消えていった。
「まだ夕餉には時間があるな…宿で休もう。」
「そうですね…。僕も流石に頭が痛くなってきました。」
宿に戻ったら戻ったで廊下中に変なにおいが立ち込めていたが、
2人は完全に無視を決め込み素早く扉を閉め、チャーリーが呼びに来るまで寝台に突っ伏していた。
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