「で、ウェハースはまだ?」
3日たち、特に異常が見られずにそろそろ町を移そうかと準備をする中、
一人だけたりない。
もっともジミーが現在“食料調達”をしているためそれが終わるまで動く事はできない。
ウェハースは現在超短期バイトをしている。
別に食費とかではなく個人的に集めているらしい。
なんでも大切なものを質屋にだしているとか…。
まだ時間がかかりそうだということで、偽エルフの2人はギリギリまで宿で送られてきた書類を片付けている。ばれないよう細心の注意ははらっているが。
どこかに行きそうなジュリアンやアイアンなどを押さえ待つ勇者ご一行。
ふと、そこへ黒いバンダナをつけた少年が一行を見つけ側へと寄ってきた。
バンダナから覗く赤黒い髪に陽気な気候なのに黒い細身の服を身に纏った少年。
「どぉ〜したの?まいごぉ?」
「あたし達に用事?!チャーリー君!用事があるみたい!」
出てきたアイアンとキャシーの声に少年は眉を寄せる。
「いや…探しもんがいると聞いてきたけど…いないみたいだ。…そうだ。
シルフ様はいるか?それとド変態。」
少年は妙に大人びた口調で奥から来たチャーリーに聞く。
「探している人ですか?よかったら教えてくだされば…きっと役に立てると思いますけど…。
ロードクロサイトさんなら上の部屋で…あ、ローズさん。」
階段から足早に下りてきたローズは少年を見るなり、あぁと警戒を解く。
「師匠、何かしてませんよね。元気そうでなによりです。変な知識吹き込んでないよな。
部屋に上がらせてもらってもいいですか?」
「あ…あぁ。そうだ。渡したいものがあるし。チャーリー君、まだ時間大丈夫ですか?」
「え…はい。どうぞ。」
チャーリーの許可を取ったローズはキルとともに部屋へと戻る。
念のために防音結界を張りたいが、あのネティベルがいる。
そうそう怪しまれる行動は取れない。
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