「あぁ、キルか。半分ほど終わったから…どうした?」
「いえ。ところでどうでしょうか?今の現状は。」
処理の終わった書類を受け取りつつ、キルは問う。
一通り現状を伝えると魔族の男のところでわずかな反応をみせた。
「魔族…ですか。出入りを管理しているものとして…申し訳ございません。
そのようなやからが出た不始末の責任は私にあります。」
「いや…そんなに頭を下げなくとも…。キル、お前はまだ若いんだし、
統括しきれない部分もあるだろう。
どのみち、あのウッド=ウェハースは情報も何もないものらしくたいした脅威ではないはずだ。」
「ウッド=ウェハースですって!?」
名を告げた途端、キルは驚いたように目を見開く。
そして部屋の空気が重くなり、強い殺気が満ち溢れる。
ぎりっと歯を噛み締め一点を睨みつける表情はまさに鬼の形相。
「どっどうした!?」
「いえ。ただその男50回切り刻んでも足りないほどの罪を犯したものなので逃げない様、
充分目を光らせておいてください。もう帰らねばならない時間なので帰りますが…
次に来たさいには執行書類を揃えてきます。」
重い空気に2人は冷や汗をかくが、キルは一転してにこやかに答える。
そんな重罪人いただろうかと考えるがロードクロサイトの記憶上には無い。
首を傾げる主に別れを告げ、書類しまうと宿を立ち去った。
「…あぁ!あれですね。」
「知っているのか!?」
思い出したように声を上げるローズだったが、遠いい目をし納得する。
再び首を傾げるがローズはそのうちわかりますよとはぐらかした。
|