とっさに肘で遮ってしまったのが鳩尾に入ったのか、
軽く咽るロードクロサイトを見るなり壁付近まであとずさる。
「すっすみません!!というか…故意的じゃなくて…あの…。」
「ローズ。長年生きてはいるが…まさか故意的以外で鳩尾をピンポイントで当てるとは…。」
 にっこりと微笑むロードクロサイトの右手に嵌めた指輪から巨大な大鎌が姿を現す。
柄と刃の付け根に目玉が浮き出るとローズの方向を見据えた。
「ほぉ〜。大魔鎌とはのう。それではあの時ですら本気でなかったのじゃな…。」
 シャーマンが感心する中、召喚獣達が必死に張る結界の中を逃げ惑う元勇者と幾分気が晴れたのか微笑みながら追いかける現魔王。

 
 
「ごめんなさい。」
 
「それで…これからどうするんじゃ?」
 ややこげたローズが土下座するのを横目に曾曾孫(?) がやはり心配なのか、
今後のことを問うシャーマンにロードクロサイトは一呼吸ほど考える。
「まだまだ先は長い。しばらくは同行するつもりだ。まだ実力が定かでないのもいるし…
何より暇つぶしにはなる…相当疲れもするけど。」
「僕はとりあえずお側にいるつもりだけど…あんまり放置しておくとセイがキレそうだから…
ちょくちょく様子を見に戻る…かな。」
 ローズは自軍の副将であるハナモモと水ドラゴンのセイを思い浮かべる。
ハナモモは身を粉にしても仕えてくれるが…
真面目な彼女(セイ)が一度怒れば自分の手にはおえなくなってしまう。
ロードクロサイトが不在中にそれだけはなんとしてでも避けなければならない。

「まったく…仕方のない奴らじゃのう。ここからじゃと…次はノーストラリア国じゃな。」
「あの国って何気に砂漠が多いから別に欲しい領土じゃないですよね〜。」
「見ておくぶんには良いだろう。」
 次なる目的地を予測し、2人は視察の情報を話し出す。
シャーマンは付き合っておれんと先に部屋を出て行った。