「それじゃあこの先はノーストラリア国ですね。」
「そうじゃ。海を渡る召喚獣を貸してやろう。それに乗ればあっという間じゃよ。」
すたすたと移動するシャーマン以外に食堂には家族が見えない。
が、時折ろうそくが不規則に揺れ、声が聞こえるためどこかにはいるらしい。
ふと、扉が開くと同時に奥のほうに座っていたジミーの目の前にスケルトンが現れた。
「ジミー。気をつけていくんだよ。はい。むやみに終わりの歌とか歌ってはいけないよ。はい。」
終わりの歌と聞いたロードクロサイトは飲んでいた茶にむせる。
「ロードクロサイト様、知っている…えぇと…歌なんですか?」
「一応私も使える召喚獣だが、あれは破壊神を呼ぶときのものだ。まぁ…人間が呼び出せるものであるから邪神だと思うが…どっちにしろ危険なものだ。」
そんな歌こんな孫に教えんなと、2人は揃ってツッコミを入れるがいまさらつっこんでもこのパーティーには焼け石に水だとため息をつく。
そこへなにやら料理が目の前に現れた。
「お口に合えばいいのですが」
((あうか!!!))
目の前に並ぶ”食事”を見た。
まぁ確かに人の食べられるもの…ではある。
ジミーの前以外は。
一見普通の料理だ。具材さえ普通であれば。
まぁ食べようと思えば食べられる食材だ。
「…虫じゃないだけ…いいのかしら。」
「このお肉、なんていう動物のお肉ですか!?!」
偽エルフ組みと同じく肉の正体に気がついているネティベルはため息をつく。
その他の仲間は知らずおいしいという。
一応…食べるところはある。地域によっては。
だが…正体を思い浮かべることのできてしまった3人はそれ以外のものに手を伸ばす…。
が
「ひっ」
「げっ…」
慌てて2人は手を引っ込めた。
これでもかと…聖水を使ったドレッシングがたっぷりと…。
ネティベルは気にしていないが、2人にとっては結構危ないドレッシング。
…爬虫類の肉をふんだんに使った…怪しい料理。聖水サラダ…。
((あの婆だ!!))
2人揃ってシャーマンを振り向けば反応を見て楽しんでいるようだ。
とりあえず、純吸血鬼のロードクロサイトにはせめて別のものがないか聞こうとローズが立ち上がりかけるが、目の前に果物の皿が置かれた。
「それが一番いいんじゃろ。安心せい、お前さんらの苦手なものははいっとらんよ。ひぇっひぇ。」
翌朝、遠のく屋敷をジミーは時折振り返り小さく見える父と母、そして大大婆に手を振っていた。
「いや〜…ジミーの母親って案外普通な女性でしたね。」
「シャーマンが言うにはジミーの顔は母親譲りだとか…。」
一行からやや距離を置いて歩く2人は見送りに出た母親の姿を思い出す。
まさかあのシャーマンも化粧を落とせば…いや、絶対にありえないだろうと揃って首を横に振った。
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