そういえばどんな刀だ、と問うと
先ほどのですか?といいながら腰に帯刀していた刀を鞘ごと抜き出す。
鞘から刀を抜くとロードクロサイトへと渡した。
神器では無くなったとはいえ多少魔王に抵抗を見せる“天の正虎”。
軽く刃を見ると机へと並べ置き、若干火傷をした手をローブへと握り隠す。
「保存用でなく白い鞘か…珍しいな…。
見たところ…白漆太刀拵(ごしらえ)、刃は乱刃の小湾れ。
元の神器よりは若干見栄えは劣るが…なかなかいい刀だな。
鞘は元からのものだろう。白い漆が取れるのは天上界のみと聞く。」
鞘には触れることは出来ないなと、内心呟くと手入れのされた刀を見る。
「一応祖父が剣士だったそうで話は聞いていたんですけど…こうしてみると凄いなぁって思います。それにしても武器に詳しいんですね。」
「そうか?大部屋一面に武器のコレクションを置いているだけで特に詳しいわけじゃあないと思うが…。」
ここに彼をよく知るのがいればツッコんでいたかもしれないが、あいにく彼は現在フリーダム。
暗器など小物から鞭、斧、サーベル、鉄球、矛にetc.しかもほとんどが名工作。
中には長年知らずに魔界の穀物的なものを刈り取る道具にされていたものもある。
打ち方によりさまざまな模様を見せる刀なんてほぼ全種類あるのではと思うほどだ。
それらを一目で見分け集めたのだからそん所そこらの武器ヲタクよりも、むしろ専門家と言った方がいいほどの知識を持っている。
「ツッコミがいないとだめね…。どれくらい広い部屋かはなんとなく聞きたくないわ…。よくそんなに集めたわね。」
さして武器に興味のないネティベルも正虎から漂う聖の気が気になったのか、
先ほどから見ていたのだが…。
普段はうるさいツッコミの重要性を認識する。
翌朝、ん十年ぶりに泣いたせいで寝てしまったローズは己の不甲斐なさにかなり落ち込んでいた。
「だから、気にしていないのだからなかったことにすればいいだろうが。」
「いえ…人間にして100歳になって泣き疲れて寝ましただなんて…あぁ、恥ずかしい。」
深々とため息をつき、嘆く。
何か情報を手に入れましょう。
というネティベルの案で短期労働中のウェハース以外の全員で町を歩く。
ふと、そこへ黄色いヘルメットを被った女兵士が現れた。
手にはなにやら写真を持っている。
辺りを見回し何かを探す姿にチャーリーが声をかけると元気の良すぎる声が返ってきた。
「ハイっす!自分はこのノーストラリア国に臨時でバイトしている名も無きただの兵士っす!
今国王陛下の命で3.4年前から行方不明のエレアノラ=シーザー・クラウ=ノーストラル王女様を探しているっす!」
手に持った写真は若干古くなっており、しかもセピア色をしている。
写っているのは薄い色をした長い髪の女性。前髪を後ろに流し髪留めで止めている。
王女という割には目が鋭く、知的な印象の顔つきをしていた。
「王女様が行方不明なんですか…まさか魔物とかでは…。」
「違うっす!王女様は城出なされたそうっす。」
「このおうじょさまって、うちととしちかそぉ〜。」
女兵士はそのまま失礼するっす、といい走り出してしまった。
25歳になるアイアンは配布用の写真を見るなり自分と同い年に見えると言い出す。
他のメンバーは旅をしながら探して見ようと、特に王女様などにあこがれるキャシーは意気込んだ。
写真を見たロードクロサイトとローズ、ネティベルは揃ってそ知らぬ顔をする人物を見つめた。
本人はどこ吹く風で通りを見ている。
「だう?」
突然聞こえた謎の声…鳴き声?に目を向けると、
腰ほどの背丈しかない謎の生物が一行を見つめていた。
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