フサフサの金色の髪に、着ている服から覗くひれの様な肌色の手足。
そしてなんともこ憎たらしい顔。
その生物は一行の中で何かを見つけたらしく、ぶわっっと涙を流すとブーンという足音をたて、
走りよってきた。
「だうぅぅぅうう!Σ=@(ノ´゜ω゜)ノ」《ブーーン》
「こくおう!?」
 飛びついたのは、誰が予想できたであろうか全身黒づくめのエリー。
その生物を抱きとめると同時に驚いたように言う。
「国王!?ってこの国の!?」
「国王!??ってことはエリーさんのちっ…。」
「こくおうさまなのぉ〜?このへんなちいさいのがぁ?」
「キモカワ萌えキュンな動物だとおもってしまいました。初めましてご主人様。」
「ちいさな人じゃのぉ。」
「あっ、王冠被ってる!」
「おっお師しょ、先生。あれって…。」
「あら、ポリッター。ちゃんとこの国のこと勉強したのね。」
 思いっきり蹴られたローズ以外はどうすればいいのだろうかと軽くパニックになった。
まさか国の王にあってしまうとは誰も考えていなかったのだ。
そして…どうみても人間じゃない。
 
 
 エリーの手を引く国王に彼(彼女?) は大きくため息をついた。
「あいつは今いるのか?」
「だうぅだう!(`・ω・´)ゝ」
 なぜかいつもの口調のエリーだが、国王は答えるように敬礼して見せた。
「城に来て欲しいそうだ。情報などはそこで手に入るだろう。」
「でっでもいいんですか!?」
「あぁ、なじみだからな。かまわない。」
 驚くチャーリーに大丈夫だというと、加勢するようにネティベルもいいじゃないと言い出す。
 
 
 
「ここが…」
「本物のお城!!!あたしはじめてみた!!!御伽噺みたい!」
 目をきらきらさせるキャシーにロードクロサイトとローズは彼女がまだ16歳ほどだったことを思い出す。見かけはボディービルダーでも頭脳は乙女。その名はキャシー。
 兵士らは国王を見るなり一行をそのまま通した。
 
 程なくして現れたのはよく道ですれ違っていた金色の髪をした男性。
町人A的なものだったためか誰も気がついてはいないほどだった。
「陛下、ご機嫌麗しゅう。」
「お!エリーか!!久しぶりだな。こくおう、よく見つけてきたなぁ偉い偉い。」
「だう!( ´・ω・`)」
 たった今町から来たという姿の男は、エリーを見るなり喜びの声を上げ、
飛び跳ねる国王の頭をわしゃわしゃと撫で付けた。
「あっあのう…。」
 一国の王に対しての行動に不安になったチャーリーがたずねようとすると男は、
しまったとばかりに手を叩いた。
「あぁ、まだ自己紹介をしてなかったな!ワシはシーザー=ニャポルオン・エドワード=ノーストラル第56世…ノーストラリア国王だ。」
 んで、と“こくおう”を前に押し出す。
「こっちはノーストラリアに唯一住むシンアザラシのこくおうだ。」
「だう♪( ´・ω・`)」
 パタパタとヒレ(?) を動かすこくおうに一行は一気に脱力する。
「へぇ…また面白い生物がいるもんですねぇ…。」
「あ、背中にジッパーっぽい背ビレがある…。なんだろうな…あれ。
400年生きてていまだかつて見たことないな…。」
 ですよねぇ〜と脱力せずすんだ5人のうちローズとロードクロサイトは目の前にいる生き物から目を移し、いつの間にか消えるエリーの背を見送る。
「なんだか…殴りたくなる顔ね。」
「しっ師匠…オウリアンダー先生、駄目ですよ。」
 わかってるわよ、と思いっきり膝裏を蹴るネティベルに蹴られるポリッター。
 
 
「父上、お久しぶり。」
 そこへ静かな声が響き渡り、金髪の長い髪をした女性が現れた。