晩餐へと出た一行はこの先について国王の話を聞きつつ次なる地を考える。
「そういえば君たち兄弟はフレッシュミントからきたと言っていたな。
もしよければだがあそこに住む召喚術士のクラリス殿に、手紙を渡してきてはもらえないだろうか?そろそろ魔王城を目指すのだろう?」
「えぇ。あの近辺で魔物が出たと言う話を聞きましたので一度は寄っていこうと思ってました。
それにもう1年近く旅をしているので、そろそろ魔王城を目指す頃かと先日ネティベルさんやエリーさんと話していました。」
「クラリス!?クラリスってシャーマンの弟子の?」
話を聞いていただけのローズは驚いたようにチャーリーに問うと彼は首をかしげた。
「そうだったんですか?でもどうして…。」
「昔ちょっとね。」
どうぞ話を続けてくださいと言い後ろに下がるとどう、
したというロードクロサイトに肩をすくめて見せた。
「やっぱりあの性悪婆の弟子だから長生きはしているとおもったけど…
どんな秘術使ってるんだろう?」
「使役している悪魔などと契約を交わしているなど…ではないのか?」
そんなこと可能なんですか?というローズに出来る人間もいるらしいと言う。
「それより…いいのか?フレッシュミント村と言えば…。」
「僕も今それに迷ってるんですけどね…。そろそろ一度城に戻ろうかとも考えているのでちょうど良い機会かと…。ん?キル?」
【今どこにいますか?】
これから向かう村がフレッシュミントと聞いたローズは困ったなぁと耳をかく。
そこへキルからの念話が届き、ローズは意識を集中させる。
【今?ノーストラリア国でノーストラル国王の城。あのエリーって黒服の実家に来てる。】
【そうですか。あれはどこにいますか?】
【今は…短期アルバイトで稼いだ金で質屋に…あ〜なんか大事なものを預けているとかで…。】
【そうですか。分かりました。宿はどちらで?
そちらの用事が終わるまで待たせていただきたいのですが。】
質屋と言った瞬間念話越しに関わらず、ローズの腕に鳥肌が立つ。
あのウェハースが質屋に入れられる持ち物。
そして持っていなければならないものをもっていないと言うことは。
一つしかない。
宿…というよりもホテルの名を伝えると了承の意が伝えられ、念話が途絶える。
【どうかしたのか?】
【たった今キルから連絡があったんですけど、これからあのホテルに来るそうです。】
2人のやりとりに気がついたのか、念話が終わったローズにロードクロサイトが声をかける。
やっぱりかとため息をつくとそれに気がついたのか、ネティベルとエレアノラは何かあったのかと首をかしげる。というより睨むように話しなさいよと言うオーラを発する。
ロードクロサイトに話してもいいかと聞き、ローズは意識を再び集中させる。
【聞こえる?そっちの声は無理だから聞こえたらなんか分かるように合図して。】
人間に対しての念話は元が人間だからか、ローズの声が良く聞こえると言うことでよく代理をしているのだが、こうも連続で使うのはあまりない。
若干疲れての念話に自信がないローズは念のためにと2人に合図を求める。
すると2人とも他に怪しまれないよう、ネティベルはいつものように弟子を注意し、エレアノラは軽く机をノックする。2人揃って一瞬ローズを見ると何もなかったように食事を続けた。
【出来れば2人にも協力してもらいたいんだけど。】
と、弟子からの通信とあのウェハースのことを伝える。
結局フレッシュミント村まで同行することになりそうだとローズはため息をついた。
城に帰ったら仕事が山ほどたまっているだろうなと遠い眼をする。
まぁ副将二人組が有能でよかったかもと思うが、戻った後ハナモモはともかく、
渦の水龍のセイが笑顔でお疲れ様ですとは絶対にいわない。
むしろセイが長期休暇をとり、自分の休みが全部消えるなと、なるべく長引くのはなぁと大きなため息をついた。
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